4人組アイドルグループの「BLUEGOATS」(ブルーゴーツ)は“青春パンクアイドル”の名の下に、横浜アリーナを満員にするとの目標を掲げている。
「今を生きるということが一生青春」「あなたと私でBLUEGOATS」をコンセプトに、ファンと一体となった熱いライブパフォーマンスで魅せる彼女たちは、メンバー自身が楽曲の作詞を手がけることで、独特の世界観をつくりあげている。
メンバーのダイナマイト・マリンはこれまで、アイドルに懸ける自らの覚悟や思い、他愛の無い「アイドルあるある」などをマンガにしてX(旧Twitter)に投稿し、人気を集めてきた。そのマリンが今回、作詞を通じて楽曲に込めた思いをマンガに昇華させ、作品をXで発表。
本サイトでは4週にわたり、彼女が発表してきたマンガを連載形式で公開していく。本企画にあたり、ライブや動画配信とはひと味違う表現に挑んだ彼女の思いを訊いた。
◆Xにアップしてみたら『面白いね』って言ってもらえました
「もともと、絵を描き始めたのは中学のころでした。美術部に入っていて、当時はイラストなんかを描いていたんです」
ゆっくりと言葉を選ぶように、独特のペースで話すダイナマイト・マリン。
「でも、周りのみんなが私より全然うまかったのでもう嫌になって。それでも先生に言われていっぱい描いてて。でも、私やらされるのがすごく嫌で、描くことがあまり好きじゃなくなっちゃって。代わりに切り絵で作品をつくるみたいなことをずっとやってました」
時が過ぎ、上京してアイドルになってXにマンガを投稿し始めたのも、明確な思いがあったわけではないという。
「マンガを描いたこともなかったんですけど、なんか面白いかなと思って『100日後にアイドルになる工場勤務の女(実話)』っていう4コマを描いてみたんです。それで、Xにアップしてみたら『面白いね』って言ってもらえるようになって。あまり続ける気もなかったんですけど、続けてみたらどんどん楽しくなってきたんです」
その後もマンガを定期的にアップし続け、応援し続けてくれたファンのことを描いた「ずっと支えてくれていたあの人へ」は“万バズ”するなど、徐々に注目を集めるようになってきた。
BLUEGOATSメンバーのほんま・かいなは、こう指摘する。
「事務所のソファーに座って、本当に6時間くらい1ミリも姿勢変えないで描き続けてるんですよ。マリンはあまりしゃべらない方なんですけど、その分、自分を伝える“マンガ”っていう武器があるのがすごいなって思います」
「普通“しゃべれない”ってなったら、“しゃべれるように頑張る”か“そのままでいる”かしかないじゃないですか。そこで『マンガ』っていう自分の思いを伝えるものを見つけて、しかも自分の伝えたいこととか、思いがいろんな人に共感されてるのが、かっこいいなって思いますね」
◆自分の弱いところも好きになってもらえたら良いな
マンガを描くことに、なぜそこまで没頭できるのか。ダイナマイト・マリン本人が説明する。
「日ごろしゃべることが少ないので、その分言いたいことが溜まりに溜まっているんです。言葉が出てこなくて困ることはなくて、“選ぶ”作業のほうが大変だなと思いますね」
そんな彼女が、自ら作詞を手がけた楽曲4曲について、あふれる思いを初めてマンガで表現した。
「BLUEGOATSの楽曲はいま60曲以上あるんですけど、今までひとつひとつ曲の話をする機会ってあまり多くなくて。もっと曲に対する思いとか、こういう気持ちで歌詞を書いてるっていうのを、いろいろな人に知ってもらいたいなって思ったんです」
最初に選んだのは、大切な人への思いをうまく表現できず、伝えられない葛藤をまっすぐに歌うバラード『素直になれない』だ。
楽曲の歌詞について解説してもらった。
「素直になれないは、もちろん同じ思いを持ってる人にも届いてほしいんですけど、どちらかというと、素直になれない自分のことを愛してほしいというか、自分の弱いところも好きになってもらえたら良いなっていう気持ちを込めているんです」
BLUEGOATSの曲の中でも、ひと味違った雰囲気を持つ曲だという。
「BLUEGOATSには前向きな歌詞の曲が多いんですけど、この曲は自分の弱いところとか、人に知られたくない部分を書いているので、少し恥ずかしいというか、伝わるのかなっていう気持ちがありました。でも、この間のワンマンライブ(5月2日@新宿LOFT)でも披露したんですが、そのときはすごく泣いている方が多くて。もしかしたら『自分だけの気持ちじゃないのかな』っていう風にすごく思って、その涙に救われた気持ちになりました」
この曲のマンガには、ダイナマイト・マリンの極めて個人的な経験が描かれている。
かつて同じ夢を見て、同じグループで切磋琢磨した、心を許せるメンバーがいた。しかし、そのメンバーがグループを脱退してしまう。悲しみと怒りがあふれるが、その気持ちにふたをする。
去り際に本人から「辞めること怒ってる?」と聞かれても、「ううん、怒ってないよ」と返してしまう。最後には「素直になれなかった」こと、「あなたと過ごす時間が大好きだった」ことが綴られている。
「今日もまたひとり歩く帰り道 昨日までふたり並んで歩いていたね」
歌詞の内容と重なり合う経験が、マンガという形で初めて描かれている。
ただ、ダイナマイト・マリンは「この経験が、この曲の全てだとは思ってほしくない」と話す。
「あくまでもこの曲を理解するうえでの手助けになったら良いなとは思うけれど、どの楽曲も、聴いた人が自分の中での解釈をすごく大事にしてほしいです。『こういう気持ちを書いていたんだ』って伝わるのも嬉しいですけれど、やっぱりその人自身が思うことが正解だと思うから」
「大丈夫だよ なんてもう言わないから」
「素直になりたい 素直になれない」
歌詞にも表現されているあふれる思いを、マンガに仕上げている。
前出のほんま・かいなが、こう指摘する。
「グループの表面的な面白さではなくて、強い思いや考えを持っている子がいて、『そういう思いを持ってるグループなんだ』ってことをマリンのマンガを通して伝えられる。グループの大きな武器になっています」
6月8日には、ダイナマイト・マリンの描いたマンガが書籍化されることを記念するイベント「MANGA×LIVE」が東京・下北沢club251で開催。『素直になれない』も披露される。
ダイナマイト・マリンが、ファンに呼びかける。
「ポジティブな要素が多い歌ではないですが、その“良さ”を心の中で感じ取って、会場に私と同じ気持ちになっている人が1人でもいたら嬉しいなって思います」
【ダイナマイト・マリン プロフィール】
3月14日生まれ、群馬県出身。
身長 146.7cm、O型、うお座。
2021年11月に結成されたアイドルグループ「BLUEGOATS」のオリジナルメンバー。
公式X @marin_aoyagi
公式インスタグラム @marin.aoyagi
◆BLUEGOATS公式サイト:https://bluegoats.jp/
(写真: すずき大すけ)
※特別企画 連載第2回は5月23日(金)に掲載予定です