ヒロインのるい(深津絵里)が故郷の岡山から大阪に出て、クリーニング店で住み込みで働くことに。NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」で描かれている昭和37年当時の世相に注目が集まっているという。
るいが働く竹村クリーニング店は大阪・道頓堀にあり、近所に映画館や洋品店、レコード屋などがある繁華街となっている。家の中に目を向けるとテレビはまだ白黒で、主な情報源はラジオ。音楽を聴く手段はレコードであり、それを掛けるレコードプレーヤーは初任給の3倍もの値段という時代だった。
「1月11日放送の49回では終盤に、湯上がりらしきるいが白いタオルで濡れ髪を拭いているシーンがありました。彼女が浴衣を着ていることから、どうやら家風呂に入っていた様子。当時は風呂付きの団地が人気を博す一方で、古い家屋での家風呂の普及率はまだ低く、銭湯に行くのが当たり前の時代でした。その点、家風呂がある竹村クリーニング店は、テレビもあるしラジオは新品ですし(昭和37年発売の松下電器製)、なかなか儲かっていたようです」(週刊誌記者)
ちなみにヘアドライヤーは戦前から存在していたものの、耐久消費財の統計に登場するのは昭和39年になってから。最初の統計で普及率が5%程度だったことから、作中の昭和37年には一般家庭でドライヤーを使うことはほとんどなく、るいがタオルで髪を拭いていたのも当然だろう。
店内のラジオからは2年後の東京五輪に合わせて新幹線が開通するとのニュースが流れていた「カムカムエヴリバディ」。その当時の銭湯には、今では考えられない料金設定があったという。
「昭和37年当時の入浴料は19円(東京都の場合)。現在の価値に換算すると消費者物価指数ベースでは100円程度、初任給比較では200円程度となり、現行の480円に比べて半額以下だったことが分かります。ただ当時、銭湯で頭を洗う場合には、入浴料とは別に『洗髪代』を払う必要があり、昭和37年には10円が加算されていました。この制度、東京では昭和45年に廃止されていましたが、『カムカムエヴリバディ』の舞台である大阪ではなんと2005年になってやっと廃止に。最終期の洗髪料は10円という申し訳程度の金額でしたが、30代以上の大阪出身者には洗髪料を覚えている人も多いようです」(週刊誌記者)
存命なら今年78歳になるるい。その年代の家族や知人がいたら、洗髪料について覚えている可能性も高そうだ。