【カムカムエヴリバディ】「寂しいだろ、バカ」ひなたの心に五十嵐の東京弁が響いた夜!

 西と東の違いを超えて、二人は引き寄せ合うのか。そのエンディングに視聴者も思わずキュンキュンしたに違いなさそうだ。

 3月2日放送のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第85話では、ヒロインの大月ひなた(川栄李奈)が女優・美咲すみれのわがままに振り回されることに。そのせいで、仲が深まってきた駆け出し時代劇俳優の五十嵐文四郎(本郷奏多)と会えない日々が続いていた。

 条映映画村の業務部で働くひなたは、美咲が舞台「京都茶道家殺人事件」の茶道家役に決まったことから、お茶の稽古に付き合うことに。ひなたの親友で茶道家の娘である一恵(三浦透子)が美咲にお茶の作法を教えることになったが、不器用なうえに地味な稽古を軽んじている美咲はなかなか作法が身につかず、ひなたは毎日抹茶をがぶ飲みさせられる羽目になっていた。

「一方で前回の放送では、五十嵐が映画『妖術七変化!隠れ里の決闘』にて、伊織という名の役をもらえることに。ひよっこの大部屋俳優にとって役名のついた映画出演は大出世であり、ひなたも台本の読み合わせを手伝うと大喜び。仕事が終わったら道場に行くと約束していました。しかし美咲の付き合いで連日、茶道の稽古から居酒屋まで引きずり回されるひなたは、たまに道場に顔を出しても五十嵐はすでに帰った後。二人はすれ違いの日々が続いていたのです」(テレビ誌ライター)

 そんなある日、ひなたが自宅のすぐ近くまで戻ってくると、そこには五十嵐の姿が。驚くひなたに五十嵐は「なんなんだよお前。いつもうろちょろ邪魔ばっかりするクセに、映画が決まったとたん、姿をくらませやがって」とひとくさり、文句をつけてきた。もちろんその言葉は、ひなたに寄せる好意の裏返しだ。

 そんな五十嵐にひなたは、美咲のわがままに振り回されている現状を涙ながらに説明。すると五十嵐が駆け寄って突然のハグ。戸惑うひなたに「ちゃんと毎日顔見せろ。寂しいだろ、バカ」と言い放ったのだった。

ひなたを抱き寄せた五十嵐。まだ遠慮がちなハグはいずれ、もっと密着していくのか。ドラマ「カムカムエヴリバディ」公式ツイッター(@asadora_bk_nhk)より。

 ハグをほどいて歩み去る五十嵐。その後ろ姿を見送り、思わずへたり込むひなた。そんな二人の大接近シーンでは、とある単語が重要な役割を果たしていたというのである。

 東京出身の五十嵐は、ひなたに初めて会った日からなにかにつけて「バカ」と言っていた。東京ではわりと気軽に使う「バカ」だが、関西ではかなりの侮辱を感じる言葉とされており、ひなたは五十嵐からのバカ呼ばわりが相当、腹に据えかねていたことだろう。

「しかし今回、五十嵐の発した『寂しいだろ、バカ』は明らかに、親愛の情を示す言葉でした。発声のトーンも違いましたし、京都人のひなたにもこの東京弁が、それまでさんざん聞かされていた『バカ』とはまったく違う意味だと分かったはず。この日ばかりは五十嵐の『バカ』がひなたにとって心地よく響いたに違いありません」(前出・テレビ誌ライター)

五十嵐のハグに虚をつかれた表情を見せたひなた。ドラマ「カムカムエヴリバディ」公式ツイッター(@asadora_bk_nhk)より。

 当の五十嵐は「寂しいだろ、バカ」という直前、「ファーッ」と音を立てながら息を吸い込んでいた。その呼吸音は、大事なセリフを言うために五十嵐が意を決する様子を表したもの。ひなたにとっては声ならぬ息づかいと「バカ」のコンボが、とてつもない告白に聞こえていたことだろう。