未だにライブをやったことのないアイドルグループが、ラジオ番組のパーソナリティに抜てきだ。
テレビプロデューサーの佐久間宣行氏が総合プロデュースを手掛けるアイドルグループの「ラフ×ラフ」が、2月11日放送のラジオ番組「オールナイトニッポン0(ZERO)」(ニッポン放送)にてパーソナリティを務めることになった。この異例の抜てきで、佐久間氏の剛腕ぶりがあらためて注目されているようだ。
その「ラフ×ラフ」は昨年8~9月にオーディションが開催され、15歳から21歳のメンバー9人が決定。YouTubeのラフ×ラフ公式チャンネルでは、東京ホテイソンをMCに迎えたバラエティ番組が火曜と木曜の更新で公開されている。
ほかにもツイッターやインスタグラム、TikTokといったSNSを開設しているほか、すでにFLASHスペシャルや週刊プレイボーイで特集が組まれるなど、スタートダッシュに成功。しかしながらアイドルとして最も肝心な要素であるライブはまだ1回も開催しておらず、「いつでも見られるけど、まだ会えないアイドル」という立ち位置にある。
「生のステージ経験は一回もないわけで、その状況で『ANN0』という人気の生放送番組に投入するのは、空恐ろしいこと。もちろん佐久間氏プロデュースという看板あってこそですが、当の本人たちにとっては楽しみよりも心配のほうが先立ちそうです。しかも放送時間の関係から、生放送に参加できるのは18歳以上の4人のみ(18歳未満の5人は事前収録で参加)。彼女たちにかかる重圧は想像できないほど大きなものでしょう」(アイドル誌ライター)
1月13日には佐久間氏が「ラフラフしっかり動きはじめました。今週や来週にちょっと驚きの発表があります」とツイート。このつぶやきにファンからは<デビュー曲の発表スケジュールか?>との声もあがっていた。
その“驚き”が今回のANN0パーソナリティ就任だったわけだが、一方でラフ×ラフは現時点でデビュー曲すらない状況。アイドルとしての活動実績は事実上ゼロであり、現状はアイドルグループの形をしたパフォーマンス集団といったところだろうか。
なかには、果たしてそれをアイドルと呼んでいいものなのか、といった疑問もあがりそうなもの。だがそんな「ラフ×ラフ」こそ、古くて新しいアイドル像を提示しているとの声もあるようだ。
これまでにもおニャン子クラブやチェキッ娘、モーニング娘。やアイドリング!!!など、テレビ番組主導のアイドルグループは珍しくなかった。それが今回、テレビではなくウェブ上に活躍の場を移したのがラフ×ラフであり、令和らしいメディアの変遷を体現しているグループと言えるのではないだろうか。
「プロデュースを務める佐久間氏は『ゴッドタン』(テレビ東京系)に様々なアイドルグループを出演させ、新たな才能を開花させた実績を持つプロデューサー。野呂佳代や朝日奈央といった元アイドルを再生させた実績もあり、実はアイドルとの親和性が高い人物です。その佐久間氏がどんなグループを作ろうとしているのか、アイドルファンはもちろんバラエティ好きやお笑い好きとしても見逃せないグループになりそうですね」(前出・アイドル誌ライター)
佐久間氏はかつて秋元康氏とタッグを組み、バラエティ番組「青春高校3年C組」(同)を制作。同名のアイドルグループも結成し、2ndシングルの「好きです」ではオリコン週間4位の実績をあげたほか、世界最大のアイドル夏フェス「TIF」にも2年連続で出場していたものだ。
そして今回は佐久間氏単独でのプロデュースとなった「ラフ×ラフ」。もしかしたら今夏の「TIF2023」がファンお待ちかねのデビューステージになるのかもしれない。