元日向坂46宮田愛萌の新刊は短歌がテーマ、「31文字のほうが伝わることってある」と短歌の魅力を語る

宮田愛萌

 2022年に日向坂46を卒業し、現在は作家として活動する宮田愛萌が、3作目となる小説『春、出逢い』(講談社)を上梓。発売日の8月9日に刊行記念のサイン本お渡し会を開催するとともに、記者会見に応じた。

 本作は高校の文芸部を舞台に、短歌甲子園出場を目指す部員の奮闘を描いた青春小説。「短歌甲子園」には岩手・盛岡市で開催される「全国高校生短歌大会」と、宮崎・日向市で開催される「牧水・短歌甲子園」の2種類があり、宮田自身も岩手の大会を取材。8月17・18日に開催される宮崎の大会にも足を運ぶ予定だという。

 登場人物のキャラ設定について問われた宮田は、「名前に関しては1年生が名字が植物系で、2年生の名前が全部赤くて、3年生が動物っていう縛りをもって名前を付けています」と告白。モブキャラの名前に関しては地名が多いそうで「鉄鋼業が盛んな地名縛りでつけました」とのことだ。

 本作に収録されている約60首のオリジナル短歌は、その多くが宮田自身の詠んだもの。その際に意識したのは「なるべく登場人物たちが日常的に使っていそうな言葉」で作ることだったという。また“自分自身の裏設定”と前置きしつつ「このキャラはこういう本が好きかなとかを考えたりしながら、だとしたらこういう言葉選ぶかなっていうのを考えて、そこを短歌になるべく落とし込めるようにしました」との裏話を明かした

新刊を手にする宮田愛萌

 宮田が所属していた日向坂46では8月6日、加藤史帆・東村芽依・丹生明里・濱岸ひよりの4人が次期シングルの活動をもって卒業することが発表されたばかりだ。

 卒業する4人へのアドバイスを求められた宮田は、「私自身、卒業してからほんとにのびのびとやらせていただいて、ほんとに皆様のお力添えがあって、こうして本を3冊目指すことができてほんとにありがたいなって思っていて」と、自身を取り巻く環境について言及。アイドル活動で応援してもらったことの大事さについて触れつつ、「そういう学んだことを大事に、のびのびと好きなことやってほしいなと思っています」とエールを送った。

 作家として順調なセカンドライフを送っている宮田。ここまでの作品は万葉集をテーマにした第一作、2作目が恋愛もので、今回の3作目は青春小説となっている。今後、挑戦したいジャンルについては「すごく苦手だなとか書けないよって思っていたものほど、もしかしたらそれが自分の学びとかにも繋がって楽しく書けるんじゃないかな」と説明。そのうえでホラーは苦手だと前置きしつつ、「書いてみたらもっといろんな作品を読めるようになるし、楽しんで書いて、ホラーが好きってなるんじゃないかなっていうふうに思っています」と今後の挑戦に期待を持たせた。

笑顔で「お渡し会」の様子を再現してくれた

 会見の最後に宮田は、本作で伝えたかったこととして「一番伝えたいのは、短歌って面白いよっていうこと」ときっぱり。五七五七七の「31文字のなかで伝えられるものってすごくたくさんあって」「むしろ言葉を尽くすよりも、逆にこの31文字のほうが伝わることってある」と、短歌の魅力について語った。

 また宮田自身のファンは年齢層が若いことから、あまり本を読まない人も多いとしつつ、「少しでも私をきっかけにでも本屋さんに行ってほしいなという思いでいっぱい」との期待感を口に。「小説だけじゃなくて歌集読もうかなとか、自分で短歌を作ってみようかなとか、一歩踏み出すきっかけにしていただけたらなと思っております」と笑顔を見せた。

【書誌情報】
◆書名:春、出逢い
◆著者:宮田愛萌
◆発売元:講談社
◆発売日:2024年8月9日
◆定価:1870円(税込)
◆判型:四六判 248ページ
◆ISBN:978-4-06-536300-3

『春、出逢い』
著者:宮田愛萌

【宮田愛萌 プロフィール】
みやた・まなも。1998年4月28日生まれ、東京都出身。
2022年12月に日向坂46を卒業。2023年2月にデビュー作『きらきらし』を上梓。現在は文筆家として小説、エッセイ、短歌などジャンルを問わず活躍。他の著書に『あやふやで、不確かな』がある。

(取材協力:柳澤杏奈/撮影:Issey Nakanishi)