これではとても、交際相手との結婚など夢のまた夢に過ぎないのかも。
3月4日放送のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第87話では、ヒロインの大月ひなた(川栄李奈)が勤務する条映太秦映画村にお化け屋敷がオープン。それまで閑古鳥が鳴いていた映画村に久しぶりの活気が戻ってきていた。
映画村はそもそも、条映京都撮影所の業績が落ちこんでいたことから、オープンセットの維持費や映画の製作費を稼ぐ目的で設立されたテーマパーク。ひなたの彼氏である大部屋俳優の五十嵐文四郎(本郷奏多)が出演した時代劇映画「妖術七変化!隠れ里の決闘」も、映画村の収益をもとに製作されたという。
しかし時代劇の人気衰退に伴って、映画村の入場者数も減少。このままでは撮影所もろとも共倒れになるとの危機感から、人気回復の起爆剤としてお化け屋敷がオープンすることになったのである。
「作中では1992年にオープンしたおばけ屋敷ですが、本家の東映太秦映画村では1999年に『奈落之棲人』としてスタート。その怖さは関西最恐と称されるほどの人気アトラクションとなっています。こちらも作中同様に東映所属の俳優がお化けや落ち武者を演じており、来場者からは《二度と行きたくないほど怖かった》《リアルすぎてヤバい》との声もあがっています。京都撮影所には今でも数百人の大部屋俳優が所属しており、彼らが抜群の演技力でお化け役を務めていますから、そのリアルさは他のお化け屋敷と一線を画しているようです」(芸能ライター)
そんなお化け屋敷のシーンで印象的だったのが閉館後の場面だ。撮影所の休憩室に机を置いて陣取ったひなたは、出演者一人一人にギャラを手渡ししていたのである。
もちろん彼氏の五十嵐もひなたから現金入りの封筒を受け取っていたが、お化け屋敷の出演料が手渡しで支払われていることに驚く視聴者も少なくなかったようだ。
「これは芸能界でおなじみの『とっぱらい』(取っ払い)ですね。かつては源泉徴収もせず、その日その日のギャラを丸ごと渡していました。当時は封筒にさえ入れず、現金そのままで手渡ししていたものです。さすがに現在では取っ払いであっても税金関係はしっかりしており、その場で領収書にサインしてもらったり、源泉徴収後の金額を支払うように変わってきています。それでもエキストラのギャラは今でもとっぱらいが珍しくないですし、出演者側でも日銭が稼げるとっぱらいを好むケースが少なくありません」(芸能ライター)
ひなたの父親で、若かりし頃は関西ナンバーワンのトランぺッターだった大月錠一郎(オダギリジョー)も、ジャズ喫茶で演奏していたころはとっぱらいでギャラをもらっていたはず。かつてのバンドマンはとっぱらいが日常だったのである。
そこから30年ほどの時が経つも、娘のひなたは彼氏に日当をとっぱらいで渡していた。どうやら大月家の女性たちはあまり稼げない男を好きになりがちなのかもしれない。