【ちむどんどん】謎の炭酸飲料「フォーチュン・コーラ」は沖縄に実在していた!?

 暢子世代の視聴者は、懐かしさを感じていたかも?

 4月13日放送のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」第3回では、ヒロインの暢子(稲垣来泉)が東京から来た中学生の青柳和彦(田中奏生)と交流を深めていく様子が描かれた。

 食べることの大好きな小五の暢子は、沖縄になじめない和彦を山に誘うことに。浅い川床を歩きながら暢子は、熱を出している妹・歌子のために、薬草にもなるミンジャイグサ(ユキノシタ)を探していた。一方の和彦は川歩きが苦手な様子で、沖縄にはテレビや映画館、遊園地もないとにべもない態度だ。

 やがて「帰る」と言って引き返そうとした和彦は、足を滑らせて転びそうに。思わず「危ない!」と手を掴んだ暢子は、勢いで川に転がり落ちたのだった。

「ヒザの辺りをケガしてしまった暢子を、和彦が背負って帰ることに。長い道のりを一緒に戻るうちに何か通じ合うところがあったのか、途中の小屋で休憩している際に和彦は、両親の仲が悪いことを打ち明けました。それを聞いた暢子は、自宅に来るよう和彦を誘ったのです」(テレビ誌ライター)

暢子にケガをさせたとして、兄の賢秀らから相撲で投げ飛ばされていた和彦。トップ画像ともに©NHK

 日が替わって和彦は、村の共同売店でコーラを購入。値段は1本10セントで、米ドルに慣れていない和彦は「これですか?」と確認しながら、10セント硬貨(いわゆるダイム)を渡していた。

 ここで和彦が買ったのは「フォーチュン・コーラ」(Fortune Cola)とのラベルが貼られた謎のドリンクだった。沖縄には県外ではめったに見られないルートビアといった炭酸飲料があるものの、コーラに関しては戦後、米軍の指示でいち早くコカ・コーラの工場が建てられ、ライバルのペプシコーラも進出していたはず。そうなると作中ではあえて架空のドリンクを仕立て上げていたのだろうか?

「このコーラはおそらく、沖縄に実在した『ラッキー・コーラ』のオマージュではないでしょうか。戦後の沖縄には二大コーラ以外にも様々な炭酸飲料ブランドが進出しており、バヤリースやセブンアップなど現在にも残るブランドのほか、ベストソーダやミッションコーラといった製品もありました。そのなかでラッキー・コーラは北部の名護に工場があったことから、やんばる地区の売店にも販路を伸ばしていたようです」(沖縄マニアのライター)

 作中のフォーチュン・コーラは白地に赤色のラベルが鮮やかで、当時のラッキー・コーラと同じ配色になっている。沖縄以外の地域の人には見慣れぬデザインだが、昭和28~29年生まれの暢子と同世代のウチナンチュー(沖縄人)には懐かしさを感じさせるアイテムになっていたのかもしれない。