【ちむどんどん】暢子の「和風味付け」はオーナーの差し金?不自然な展開に視聴者も混乱!

 あれ、言われた通りにしただけなのに? 展開の不自然さに視聴者も首をひねっていたようだ。

 6月6日放送のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」第41回では、上京から2年半が経ち、料理人として成長しつつあるヒロイン・比嘉暢子(黒島結菜)の姿が描かれた。

 銀座の人気イタリア料理店「アッラ・フォンターナ」で修業中の暢子は、これまでの努力が実り、アンティパスト(前菜)を任されることに。この日は「寒ビラメのカルパッチョ」を作り、厨房責任者の二ツ橋シェフ(髙嶋政伸)に味見をお願いしていた。

 暢子は「お伝えした通り、レシピに自分なりの工夫をしてあります」と説明。赤ワインビネガーに少し醤油を混ぜたそうで、二ツ橋シェフは「これ以上は和風に寄せないでくださいね」とアドバイスしたものの、その場では納得したようにうなづいていたのである。

「この日は東洋新聞社で論説委員を務める天城勇一(金子昇)が、学芸部デスクの田良島甚内(山中崇)と、若手記者の青柳和彦(宮沢氷魚)を伴って来店。天城はフォンターナの開店以来、ここのファンだそうです。前菜を口にした天城は怪訝な表情を見せ、『少し味が変わったね』との感想を口に。田良島も『たしかに』と応じていました。その様子を遠くから二ツ橋シェフが眺めていたのです」(テレビ誌ライター)

大城オーナーから知人が経営する店の立て直しを命じられた暢子。トップ画像ともに©NHK

 閉店後、二ツ橋シェフは二つの前菜を用意し、暢子に食べ比べさせることに。一つはオリジナルの、もう一つは暢子流の味付けとなっていた。ここで暢子は「シェフのはいつもの味で美味しい。だけどウチの工夫も悪くないと思います」とキッパリ。この辺は我の強い暢子らしさが表れた場面だったと言えよう。

 天城に出した前菜は醤油の味が強すぎたと指摘する二ツ橋シェフ。リピートする客はフォンターナの味を食べたいと思って通っていると暢子を諭すが、納得できない彼女はふくれっ面だ。すると二階から大城房子オーナー(原田美枝子)がその様子を覗いていたのである。

 大城オーナーは暢子に、知人が開いた店の立て直しを依頼。自分のことが認められたと喜ぶ暢子は横浜・鶴見の指定された住所に向かうが、そこにあったのはイタリア料理店ではなく、一軒のおでんの屋台だった。どうやら暢子はこれから、おでんの屋台を引いて回ることになりそうだ。

 そんな展開に、視聴者からは疑問の声があがっていたというのである。

「二ツ橋シェフが言うように基本の味を守ることも大事ですが、それなら暢子が醤油入りの前菜を持ってきた時点でキッパリと断るべき。特定の皿で醤油が強すぎたなど、後付けの言い訳に過ぎません。そもそもシェフが自分で作った従来の前菜と食べ比べさせた時点で、店としては新しい工夫を求めていないと宣言したも同然でしょう。そうなるとなぜ、二ツ橋シェフが一度は暢子の工夫を認めたのか、なんとも疑問なのです」(前出・テレビ誌ライター)

 そもそも二ツ橋シェフは料理人のトップではあるものの、店の味を決める最終的な決定権は大城オーナーの専権事項だ。それゆえイタリア料理店としてはずいぶんと冒険的な「少し醤油を加えたソース」を二ツ橋シェフが認めたこと自体、あまりに異例なのである。

 一方で勉強熱心かつ向上心の強い暢子なら、自分なりの工夫を加えてくる可能性は十分に有り得ること。今回の味付けも、「雑誌で見た流行りのレストランで食べた味をヒントに」したと暢子自身が明かしていた。

 冒頭の場面では、東洋グラフの取材を受ける大城オーナーが「時代の変化と共に多種多様な考え方が台頭してきているとは思います」と前置きしつつ、フォンターナでは「基本を大事に料理と向き合っていきたいと思います」とキッパリ。これまでの味を変えるつもりはないことを宣言していたのである。

「そうなると今回は大城オーナーが、暢子の工夫をあえて認めるように二ツ橋シェフに指示していた可能性が考えられます。馴染み客である東洋新聞社の天城らが暢子の味に首をかしげることを見越して、基本を守ることの大切さを暢子に伝えたかったのでしょう。その一方でおでん屋の立て直しを暢子に命じたのは、そちらには若い暢子ならではの“多種多様な考え方”が必要だと判断したのかもしれません」(前出・テレビ誌ライター)

 果たして暢子はおでんの屋台を成功に導けるのか。そしてそれが料理人としての成長に役立つのか。今週の「ちむどんどん」は暢子の将来を左右するエピソードとなるのかもしれない。