2022年7月期に放送される夏ドラマ。TBSではスポーツ選手のセカンドキャリアやベンチャー企業経営者の悩みなど、現代らしい題材を扱う作品が多くなっている。さらには「パパとムスメの7日間」が15年ぶりに令和版キャストでリメイクされるなど、幅広い層にアプローチをかけているようだ。
今夏の「日曜劇場」こと日曜21時枠は、福田靖脚本のスポーツヒューマンドラマ「オールドルーキー」(6月26日スタート)。サッカーを題材にした異色作となる。
主人公の新町亮太郎(綾野剛)は元サッカー日本代表だが37歳で引退し、セカンドキャリアで懸命に生きる第二の人生がメインストーリーだ。榮倉奈々が演じる妻の果奈子は元女子アナ。大黒柱として一家を支えながら、新町が新しい仕事に挑む姿を応援しながら支える一番のサポーターとして奮闘する。
番組公式ツイッターでは、各キャストによる「これは、夢が破れてもなお、自分を諦めず自らの人生を生きようとするあなたの物語である」というナレーションを含めたキャスト紹介が印象的。ここで果奈子役の榮倉がハツラツとした笑顔を見せており、夫の新町のみならず視聴者にも元気を与えていることだろう。ほかには果奈子の妹・留美役で元乃木坂46の生田絵梨花が出演。芳根京子や岡崎紗絵らの出演も決定しており、日曜劇場にふさわしい豪華ラインアップとなっているいる。
火曜22時は、TBSドラマで初主演となる永野芽郁によるお仕事ドラマ「ユニコーンに乗って」(7月5日スタート)。永野が演じるのは教育系のスタートアップ企業「ドリームポニー」でCEOを務める成川佐奈だ。
10年以内にユニコーン企業となり、世界中の人々が利用できるビジネスにすることを目標に日々奮闘するも、超えるべき壁が多くて行き詰まってしまう佐奈。そこに、ベンチャー企業の雰囲気とはまったく異なるおじさんサラリーマン(西島秀俊)が部下として転職してくるという筋書きには、今から期待が高まるところだ。
注目点はアーティストとして人気の青山テルマが出演するところ。上智大学卒で英語の堪能な青山が演じるのは、グローバルな視点を持ち忖度することを知らないムードメーカーの夏井恵実。クセ強めに活躍してくれることは確実で、そんな個性豊かな仲間たちと一緒に永野が展開する‟大人の青春物語”に注目したい。
本作では番組公式TikTokを用意している点もユニーク。ソファーを社員に振り分けようとする永野は、社員の役柄を把握しながら似合うソファーを決めており、会社トップとしての振る舞いがすでに身についているかのようだ。
火曜深夜に新設された深夜ドラマ枠の“ドラマストリーム”では、「パパとムスメの7日間」(7月26日深夜スタート)が令和の現代に蘇ることに。かつて父親役が舘ひろし、高校生の娘役で新垣結衣が出演したオリジナル作が放送されたのは実に15年も前のことだ。
オリジナル版ではパパが主役だったが、令和版は娘の小梅を中心としたラブコメとしてリメイクされる。ヒロインの小梅を演じるのは、TBSスター育成プロジェクトの『私が女優になる日_』にて、約9000人の中から初代グランプリに選ばれた18歳の飯沼愛。奇しくも新垣がオリジナル版で同じ小梅を演じた時と同じ年齢となっている。
TBSの公式YouTubeチャンネル「YouTuboo」では、キービジュアルの撮影風景をWEB限定で公開。ヒロインの飯沼は「見てくださる方に笑ってほしいなと思います」と笑顔でインタビューに答えている。その小梅はサッカー部のエースの健太(なにわ男子・長尾謙杜)に思いを寄せているが、彼の前では本当の自分を出せずにいた。ひょんなことから小梅と父親の人格が入れ替わってしまい、健太との恋愛にパパとムスメが向き合っていく様子が見所だ。
金曜ドラマの「石子と羽男ーそんなコトで訴えます?ー」(7月5日スタート)は、中村倫也と有村架純のW主演によるリーガル・エンターテインメント。他人事ではない身近なトラブルを法律でどう解決していくのかが描かれるなか、それに関わる人間模様にも注目したい。
有村が演じる東大卒の石田硝子は、司法試験に4回落ちたパラリーガル。これまで恋愛ものへの出演が多かった有村だが、今作ではファンにも彼女自身にとっても新しい一面を見ることができるチャンスだろう。対する中村が演じる天才弁護士の羽根岡佳男は、司法試験予備試験と司法試験に1回で合格したという超エリートだ。
ここで注目したいのは、本作の番組ロゴ。そのフォントをよく見ると<石子>が角ばっているのに対し、<羽男>は軽やかさが伝わる書体を採用しており、二人の性格が正反対であることが表現されている。一方で実は似たところもある“石羽コンビ”が、依頼主のトラブルを解決しながら成長していく姿をコミカルに描くという。
これらのTBS夏ドラマでは、SNSをチェックするとより充実して楽しめそうだ。TikTokやYouTubeも使いつつ、豊富なコンテンツ量を用意し、撮影エピソードの更新も多めの印象。今回はCEOや天才弁護士など特殊な設定の役柄が多いなか、心の動きに共感できる人間ドラマとしての側面も楽しめるだろう。7月期のTBS夏ドラマではぜひ、セリフに注目しながら視聴することをオススメしたい。
(村松美紀)