その回想シーンには、子を持つ親たちが号泣していたようだ。
7月3日放送の日曜劇場「オールドルーキー」(TBS系)第2話では、主人公で元サッカー日本代表の新町亮太郎(綾野剛)が、9歳のスケーターとの契約に挑む姿が描かれた。
サッカーを引退した新町は前回、スポーツマネージメント会社「ビクトリー」に契約社員として入社することに。年下だが先輩の深沢塔子(芳根京子)とバディと組むこととなり、今回はスケートボードの全国ジュニア大会に9歳で優勝した牧村ひかりとの契約を勝ち取るよう、社長の高柳雅史(反町隆史)から厳命されたのだった。
新町と深沢は、ひかりが練習しているスケートボードパークを訪問し、ひかりが次々とトリックを決める姿を目撃。視聴者も最初は吹き替えだと思ったかもしれないが、その滑走シーンはなんと、ひかり役の子役が自分自身で滑っていたのである。
「それもそのはず。ひかり役を演じた佐竹晃は、キッズクラスの大会で優勝経験を持つ正真正銘本物のスケーターだったのです。本作ではスケートボードのシーンに説得力を持たせるため、子役にスケボーを教えるのではなく、本物のスケーターに演技指導するという逆転の発想に挑戦。佐竹は9歳にしてドラマデビューを日曜劇場という大舞台で飾ることになりました」(テレビ誌ライター)
そんな制作側の狙いはどうやら、ずばり当たっていたようだ。佐竹の演技ではセリフ回しにまだ不慣れな面はあったものの、笑顔はごく自然で、仲間同士で称え合うスケートボードの文化が演技に寄与していたのかもしれない。
そしてなにより、第2話の中核を担う実滑走のシーンは文句なし。高難度トリックの「バックサイド540(ファイブフォーティー)メロングラブ」に何度も挑戦するシーンでは、失敗する姿もまたリアリティにあふれていたのである。
そんなひかりの父親・悠一を演じていたのは落語家の桂宮治。娘が3歳の時から厳しく指導してきたものの、自分自身はスケボー未経験という役柄を着実に演じていた。その悠一が終盤、ひかりとの思い出に号泣するシーンに、多くの視聴者も釣られて涙を流していたという。
悠一は、アメリカでプロコーチの指導を受けたいというひかりの気持ちを受け止めつつ、幼いころからすべての愛情を注いでひかりを育ててきた思い出を振り返ることに。その場面ではひかりを演じる佐竹の幼少時からの写真が次々と映し出され、まるで本当の娘の成長アルバムを見ているかのようだった。
「数々の写真を見ているだけでも、親世代の視聴者は自分の子育てを思い出して号泣していたようです。しかも勇一を演じる宮治には小6と小4の娘がおり、次女はまさにひかり(佐竹)と同い年。それゆえひかりの成長ぶりを想起して号泣する姿も真に迫っていました。親にとって子供がいつか自分の手を離れていくことは覚悟の上ですが、これまで育てさせてくれたことを思い出しながら涙交じりに『ありがとう!』と叫んだ宮治の演技もまた、親世代視聴者の涙を誘っていたのです」(テレビ誌ライター)
視聴者のほうも正直なところ、まさか「オールドルーキー」を観て泣くことになるとは思ってもいなかったはず。主人公の新町(綾野剛)にも小5と年長という二人の娘がいる設定となっており、実は子育て世代に訴求するドラマであることを、強く実感させる第2話となっていたようだ。
※トップ画像は佐竹晃公式インスタグラム(@hikari_satake)より。