【AKB48武道館ライブレポ】新チーム体制に「チームの完全体を見せることができた」

 8カ月ぶりのリベンジで、より成長した姿を見せてくれたようだ。

 AKB48が10月7日、日本武道館にて「MX祭り!AKB48 60th Single「久しぶりのリップグロス」発売記念コンサートin武道館2022〜リベンジ!新チームお披露目コンサート〜」を開催した。

 7~9日の3日間にわたって開催された武道館公演は、今年2月に開催予定だったものが、新型コロナウイルスの影響で延期されていた。それもあって今回は、4月に始動した新チーム体制で臨む初のコンサートとなる。

 コンサートの幕開けを飾るオーバーチュアでは新チームのキャプテンとなった向井地美音、田口愛佳、浅井七海、倉野尾成美の可愛らしい映像が大型スクリーンに映し出され、所定の位置についたメンバーが最初に披露した曲は「Beginner」。キャプテン4人の掛け声と共に曲が始まり、揃ったダンスと力強いパフォーマンスで冒頭から武道館を埋め尽くした観客を魅了した。

 続いては新チーム体制になって初のチーム曲をそれぞれ披露。いずれも59thシングル「元カレです」のカップリング曲として収録されている楽曲だ。

 向井地チームAは「臆病なナマケモノ」、田口チームKは「Loss of time」、浅井チームBは「ヤラカソウ」、そして倉野尾チーム4は「アンジー」を連続で披露。4曲が出そろったところで、本田仁美がセンターを務める「元カレです」でかっこよく揃ったダンスを披露した。

チームA

チームK

チームB

チーム4

 MCでは向井地が「日本武道館という素晴らしい場所に立たせていただけることが幸せだなと思います。最後まで楽しんでいって下さい!」とコメント。

 向井地によると、劇場公演や「AKB48天下一HADO会」を通してチームの結束力が2月時点よりも深まっているという。また田口は新しい円陣を考えたと明かしていた。

「元カレです」

向井地美音によるMC

 MC明けには17期研究生がAKB48らしい赤チェックの衣装で登場し、初のオリジナル楽曲となる「Wonderful Love」を披露。佐藤綺星と水島美結のWセンターにより、指ハートなどの可愛らしい振り付けでキラキラスマイルだ。

 17期研究生は続けて「Seventeen」を披露し、17期らしいフレッシュで全力なパフォーマンスで魅了した。

17期研究生

 ここからはキャプテンたちがくじ引きで順番を決めたという、チーム別のパフォーマンスを展開。

 トップバッターを飾るのは田口チームK。「愛しきライバル」「回遊魚のキャパシティ」では力強くもそろったダンスで、見入ってしまうようなパフォーマンスだ。続く「街角のパーティー」では「田口チームKです!」と挨拶をし、ジャンプではしゃいだり銀テープを使ったりといかにもパーティーらしい演出で、格好良さを押し出した前2曲とのギャップを見せた。

チームK

 続いては向井地チームAが「Hate」と「キミが思ってるより…」を歌唱し、向井地美音が「拳上げろー! アリーナ~!~スタンド~!」と煽ると、会場のボルテージは一気に上昇。最後に「重力シンパシー」を披露し、チームAらしい華やかなパフォーマンスで締めた。

チームA

 浅井チームBは「B Stars」「ノーカン」「必殺テレポート」を披露。チームBらしいアップテンポかつ可愛いらしい楽曲を連発し、観客にハートや指差しでレスを送りまくって盛り上げた。アイドル適正の高いメンバーが集まっている姿にはつい目移りしてしまいそうだ。

チームB

 最後は倉野尾が「笑顔になるなるしていきましょう!」と叫び、倉野尾チーム4が「Get you!」「水の中の伝導率」「初めての星」を披露。それぞれ異なるイメージの3曲を連ねることで、新生チーム4としての色を見せつける形となった。

チーム4

 2回目のMCでは「キャプテン玉入れ」を開催。各チームのキャプテンがかごを背負った状態で「大騒ぎ天国」を全力で踊り、そのかごにチームメンバーが入れた玉の数を競うという競技だ。競技中は各キャプテンに次々と玉がぶつけられる形となり、終了後に向井地は「顔面に当てられました、この後の曲にいなかったらこれのせいだと思って下さい」と会場の笑いを誘っていた。

 結果はチーム4の優勝となり、2日目か3日目の武道館コンサートにて豪華な差し入れが出るというご褒美をゲットだ。ただチーム4は倉野尾がちゃんとダンスしなかったため、玉を入れやすかったというチート。本人も自覚していたのか「優勝したけど、今までで一番嬉しくない優勝」とコメントだ。

キャプテン玉入れ

 続くブロックは「うちのチームで一番○○は誰だ!?」と題し、各キャプテンが自分のチームで一番○○な人を選んだ選抜チームによるパフォーマンス披露となった。

 最初は千葉恵里や山内瑞葵、坂口渚沙らによる“かわいい選抜”が「完璧ぐ~のね」を披露。各チームを代表する“かわいい”メンバーがポップな曲調で、思わず笑顔になるようなパフォーマンスだ。ここでは千葉らがトロッコに乗り込み、アリーナを一周。スタンドにも手を振るなど、多くのファンを笑顔にしてくれた。

かわいい選抜

 続く“セクシー選抜”は「シャワーの後だから」を披露。最年長メンバーの柏木由紀を筆頭に岡部麟や武藤十夢らが発する大人の色気に魅了され、観客からはため息が漏れることに。左伴彩佳のウインクには思わず息をのんだ。

セクシー選抜

 続いて「プライオリティー」のBGMで登場したのは岡田奈々、茂木忍、大西桃香らの“イケメン選抜”。AKB48のイケメンたちはどうやら、観客だけでなくメンバーのハートも撃ち抜いていたようで、コンサート後に込山榛香は、岡田奈々の格好良さに耐えきれず叫んでいる動画をインスタグラムのストーリーにアップしていた。

 お次は近年のAKB48が力を入れているダンスをフィーチャーした“ダンス選抜”。本田仁美をはじめに村山彩希や向井地美音、小栗有以らダンスの得意なメンバーたち「NO WAY MAN」にて難易度の高いダンスを披露。流石のクオリティにファンも目が離せなかったようだ。

ダンス選抜

 そして「わがままコレクション」を可愛く歌い上げてくれたのは、佐藤美波や馬嘉伶るによる“いもうと選抜”。ラブリーな楽曲をあざとく可愛くパフォーマンスし、観客もメロメロとなっていた。

 続いては小田えりなと下口ひななが夕焼けをバックに登場しての“歌うま選抜”。福岡聖菜、浅井七海、倉野尾成美らを加えて「君について」をしっとりと歌唱。会場中がその歌声に聴き惚れていた。

 コーナーのラストは“バラエティ選抜”。田口や谷口めぐらがそれぞれのコスプレで登場し、「天国野郎」を大いに観客を沸かせた。ハタキを手にオバちゃんコスプレで登場した中西智代梨は得意の顔芸で観客を沸かせ、メンバーからもSNSでイジられていたようだ。

 続くMCでは、「センター争奪VR映像コンテスト」の結果を発表。メンバーがVR映像を制作して再生回数を競うという企画。参加メンバーの個性あふれるVR映像は現在も配信中だ。結果は3位が永野芹佳、2位が小林蘭、そして栄えある1位は長友彩海となり、長友彩海は「みなさんが応援してくださったおかげで武道館でセンターで歌うことができました!」と歓喜のコメント。その長友がセンターを務め、「ヘビーローテーション」を嬉しそうに歌いあげた。

 ここからは「大声ダイヤモンド」「RUN RUN RUN」「ポニーテールとシュシュ」「言い訳Maybe」と、ファンならずともおなじみのナンバーを続けて披露。コンサートも佳境に近づいたところで、ステージには「カモンベイビー武道館!」とDA PUMPのKENZOが登場だ。

 朝5時から小雨の中、公園でアップしてきたというKENZO。日本を代表するダンサーがゲストとして登場したとなれば、次の楽曲はもちろん、AKB48史上で最も激しいロックダンスの「根も葉もRumor」だ。パフォーマンス中には花火も噴きあがり、派手な演出にファンは大興奮。KENZOは卒業した横山結衣のポジションに入り、ソロダンスを見せるなど大活躍。歌唱後に岡田奈々が「ぜひまた遊びに来て下さい」と呼びかけ、大盛り上がりのなか本編が終了した。

「根も葉もRumor」

 アンコール明けに登場したのは“SHOWROOM選抜”。ライブ初披露となる「Sugar night」をセンターの本田による軽やかなジャンプでスタートし、爽やかにパフォーマンス。続いてこの日が初披露となった、1st Generationの武藤十夢がセンターを務める「運命の歌」と続いた。

 最後のMCでは公演の感想についてトーク。田口愛佳は「チームの完全体を見せることができた。チームの本当のスタートが始まったので各チームに期待してほしい」と自信のこもったコメントだ。向井地美音は「AKB48にとってチームというのは欠かせないもので、メンバーにとってもチームという居場所が支えになっていると思う」と、チーム制の大切さを強調。「劇場公演はまだ8人しか立てないけれど、武道館だからこそみんながそろってお披露目することができて嬉しかった。これからも各チームの応援をよろしくお願いします」と、新型コロナ禍が続くなかでの武道館公演を総括した。

 するとスクリーンにはチーム8の歴史を振り返る映像が映し出され、チーム8が2023年3月をもって活動を休止することを発表。熊本県代表としてチーム8でデビューした倉野尾成美は「寂しい発表にはなってしまうけれど、チーム8が終わるわけではないし、休止しても仲間だし、どこかで皆さんがチーム8のことを考えてくれたら」と涙ぐんだ。

 東京都代表の小栗有以は「チーム8だから頑張ってこれたのかなと思う。前向きに一致団結してAKB48をみんなで盛り上げていきたい。チーム8メンバーはこれからも心の中では一緒にいて、前向きにAKB48を盛り上げていくっていう熱い気持ちでいます」と、前向きなコメント。二人の言葉を受けて総監督の向井地美音は「今のAKB48はチーム8の存在がなかったら、みんながいなかったらなかったと思う。これからはチーム8みんなの力を借りて一つになって頑張っていけたらなと思う。これからも応援よろしくお願いします」と、8年間の歩みを続けてきたチーム8のメンバーをねぎらった。

チーム8活動休止発表

 会場が少ししんみりしたところで、千葉恵里が待ってましたとばかりに曲振りし、公演タイトルにもなっている60thシングル「久しぶりのリップグロス」をドロップ。会場には銀テープが発射され、久しぶりとなった武道館コンサートのラストに相応しい盛り上がりを見せた。

 落ちサビ前の岡田奈々と村山彩希のパートでは、2人がチーム8のポーズを披露し、ファンの涙腺も緩むことに。AKB48らしさが全開の曲調で、メンバー全員による笑顔のパフォーマンスで一日を締めくくってくれた。

「久しぶりのリップグロス」

 この日、チーム8の休止発表こそあったものの、新チーム体制になったこれからのAKB48がどんな景色を見せてくれるのかをしっかりと示す内容となった。久しぶりのオーディションで加入したフレッシュな17期研究生もどんどんパフォーマンスレベルを上げており、次のステージを楽しみにさせてくれた。そんなAKB48のこれからに期待したいと思わせてくれたコンサートだったと言えそうだ。

(取材:渋谷のぞみ、遠藤葵/撮影:Issey Nakanishi)

【セットリスト】

M01. Beginner
M02. 臆病なナマケモノ(向井地チームA)
M03. Loss of time(田口チームK)
M04. ヤラカソウ(浅井チームB)
M05. アンジー(倉野尾チーム4)
M06. 元カレです
M07. Wonderful Love(17期研究生)
M08. Seventeen(17期研究生)
M09. 愛しきライバル(田口チームK)
M10. 回遊魚のキャパシティ(同)
M11. 街角のパーティー(同)
M12. Hate(向井地チームA)
M13. キミが思ってるより…(同)
M14. 重力シンパシー(同)
M15. B stars(浅井チームB)
M16. ノーカン(同)
M17. 必殺テレポート(同)
M18. Get you!(倉野尾チーム4)
M19. 水の中の伝導率(同)
M20. 初めての星(同)
M21. 完璧ぐ〜のね(かわいい選抜)
M22. シャワーの後だから(セクシー選抜)
M23. プライオリティー(イケメン選抜)
M24. NO WAY MAN(ダンス選抜)
M25. わがままコレクション(いもうと選抜)
M26. 君について(歌うま選抜)
M27. 天国野郎(バラエティ選抜)
M28. ヘビーローテーション
M29. 大声ダイヤモンド
M30. RUN RUN RUN
M31. ポニーテールとシュシュ
M32. 言い訳Maybe
M33. 根も葉もRumor
EN1. Sugar night(SHOWROOM選抜)
EN2. 運命の歌
EN3. 久しぶりのリップグロス