あまりにもそっくりな「江里子さん」に、視聴者も驚いていたようだ。
11月8日にスタートしたドラマ「阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし」(NHK)が好評だ。人気お笑いコンビのエッセイを下地にした作品で、“お姉さん”の渡辺江里子を木村多江が、“妹”の木村美穂を安藤玉恵が熱演。その再現度の高さに二人のファンも阿佐ヶ谷姉妹のファンも大満足だという。
「木村の演じる江里子さんは、その立ち振る舞いが本人そっくり。声すらも本人に寄せており、音声だけを聞けば江里子さん本人が出演しているかのようです。一方の安藤は美穂さん本人と少し異なるようにも見えますが、実はトンチキキャラであることを知る阿佐ヶ谷姉妹ファンにとってはその再現度は完璧。唯一の違いは、阿佐ヶ谷姉妹が身長差6センチなのに対し、木村と安藤はほぼ背が一緒で、そのデコボコさが再現できていないところだけでしょうか」(芸能ライター)
ドラマでは、東京・杉並区にあるJR阿佐ヶ谷駅の北口が映り、駅前の横断歩道を渡る江里子さん(木村)の姿が。この場面に地元・阿佐ヶ谷の住民はもちろん、阿佐ヶ谷姉妹のファンも「聖地が映った!」と大喜びだ。
絵里子さんはそのまま、駅前ロータリーに面するパサージュ阿佐ヶ谷というビルの一階自由通路を抜け、阿佐ヶ谷北口駅前商店会を通過。お店の店員さんと会話をする場面が映し出されていた。また、美穂さんが猫を可愛がっているところに出くわすシーンも、同商店会の古本屋の脇にある路地で、地元民には「あそこか!」とピンとくる場所となっている。
そうなってくるとがぜん盛り上がってくるのが「聖地巡礼」。作中では研ナオコが大家を演じる古ぼけたアパートに絵里子さんが住んでいたり、顔なじみの中華料理店の軒先で絵里子さんと美穂さんが鉢合わせする場面などがある。これらは果たしてどこにあるのか?
「結論から言うと、いくら阿佐ヶ谷を探しまくっても、これらの場所を見つけることはできません。というのも本作の阿佐ヶ谷ロケではあくまで街並みだけを撮影しており、演技シーンのほとんどは名古屋で撮影されているからです。中華料理店のシーンも、阿佐ヶ谷の地元民なら『こんな道路はないよね』と気づく場面になっています」(杉並区在住ライター)
本作の制作を担当しているのはNHK名古屋で、アパート内外のセットや外ロケシーンの多くは名古屋で撮影されている。同支局は主に東海3県向けの番組を制作しているが、「NHK全国学校音楽コンクール」など全国向けの番組も担当。2012年まで40年間にわたって放送されていたドラマ「中学生日記」もNHK名古屋の制作だった。
「実は地元民でも阿佐ヶ谷姉妹のアパートを知る人は少ないのが実情。それは二人の人となりを知っていることから、あえて探そうとしないという部分もあるのです。その点では同じ阿佐ヶ谷でも自ら住処を明かしていたオードリー春日俊彰とは真逆の方向性だと言えるでしょう」(前出・杉並区在住ライター)
ともあれ木村と安藤による素晴らしい演技と、時折映る阿佐ヶ谷の街並みに、心を洗われる作品になっていることは間違いないようだ。