【カムカムエヴリバディ】ひなたと文四郎は復縁しない?劇中の朝ドラが物語っていた!

 これもまた、新しい形の朝ドラなのかもしれない。

 3月29日に放送されたNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第104話では、ヒロインの大月ひなた(川栄李奈)がかつての恋人だった五十嵐文四郎(本郷奏多)と、撮影所内の道場で言葉を交わす場面があった。

 条映太秦映画村の職員として駆け出しの大部屋俳優だった文四郎に出会い、8年にわたって交際していたひなた。だが文四郎が俳優の道を諦め、東京に帰って実家の会社に入ったことで、二人の交際はピリオドを迎えていた。

 それから10年の時が経ち、36歳を迎えようとするひなたはいまだ交際相手もおらず、独身のまま。一方の文四郎は2年で会社を辞めてアメリカに渡り、苦労の末にハリウッド映画「サムライベースボール」のアシスタントアクションディレクターとして、条映で行われたオーディションに舞い戻っていたのであった。

「同映画のキャスティングディレクターを務めるアニー・ヒラカワ(森山良子)と親しくなったひなたは、10年ぶりに昔の恋人に会ったという、母親にも打ち明けていなかった事実を告げました。アニーから『まだ好きなの?』と訊かれると、『分かりません』と返答。アニーからは『後悔のない道を選びなさい』とアドバイスされていたのです」(テレビ誌ライター)

 その後、道場で文四郎と二人っきりになった際には「戻りたいて思ったりする?」と訊ねつつ、心の中では「あの頃の二人に」との言葉が浮かんでいたひなた。しかし文四郎が「そんな風に思う時もあるよ」と答えても、ひなたは「私も…」と心の中でつぶやくばかりだった。

文四郎と交際時代の思い出を語り合うも、復縁とはならなそうなひなた。トップ画像ともに©NHK

 そんな第104話の冒頭では、2000年度後期の連続テレビ小説「オードリー」を大勢で観ているシーンがあった。そこには「オードリーのヒロイン美月は連続テレビ小説には珍しく、結婚も出産もしないまま最終回を迎えました」とのナレーションが。さらに続けて「美月と共通点の多いひなたはこれからどうやって生きていくべきか漠然と考えていました」と説明されていたのである。

「本作では祖母の安子が19歳で、母親のるいは二十歳で子供を産んでいました。それに対してひなたは未だ独身で、昭和から平成に時代が移り変わったことを象徴しています。そして今回、制作側はひなたを『オードリー』のヒロインになぞらえていましたが、そこにはもう一つ、ひなたが美月と同様に結婚も出産もしない可能性が示されているというのです」(前出・テレビ誌ライター)

 それは朝ドラの順番だ。「オードリー」の次に放送されたのは、連続テレビ小説として初めて沖縄を舞台にした「ちゅらさん」だった。そして今回の「カムカムエヴリバディ」に関しても4月11日から放送される次期作品は、やはり沖縄を舞台とした「ちむどんどん」なのである。

「まさに《時代は繰り返す》を地で行く感じでしょうか。そもそも今回、制作側がひなたを美月になぞらえたこと自体に、何かしらの意図を感じずにはいられません。今回のナレーションでは物語で描かれている内容を超えた情報を語っており、ここまであからさまにヒロインの運命を予告したケースは珍しいのです」(前出・テレビ誌ライター)

 アニーはひなたから元カレの話を聞いた時「あなたの人生、後悔のない道を」と伝えていた。日本女性にとっての「私の人生」が、昭和から平成へと時が移り変わるのにつれて、形を変えてきたという多様性を「カムカムエヴリバディ」では示しているのかもしれない。