【カムカムエヴリバディ】アニーは安子の何を知っているのか?おまじないに動揺したワケとは

 その慌てぶりこそ、彼女の正体を表していたのではないだろうか。

 4月1日放送のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第107話では、ハリウッド映画「サムライベースボール」のキャスティングディレクターを務めるアニー・ヒラカワ(森山良子)が、京都・条映太秦映画村の道場を訪れる場面が描かれた。

 映画のプロモーションで来日したついでに寄ってみたというアニー。道場を掃除していたヒロイン・大月ひなた(川栄李奈)に出会った彼女は、「あのお菓子をいただいたわ」と、ひなたが差し入れた回転焼きについて語り出したのだった。

「アニーはドラマに登場した当初から、ひなたの祖母・安子(上白石萌音)ではないかとの疑問を巻き起こしていました。年齢的にも大正14年(1925年)生まれの安子に近そうですし、岡山に縁がありそうなところも岡山出身の安子にはピッタリ。ただ一方で、彼女は安子ではなく、むしろ渡米後の安子について知る人物ではないかと推測する視聴者も少なくないのです」(テレビ誌ライター)

 今回を含めて残りの放送が6回となり、怒涛の伏線回収が進むなか、アニーの正体については未だ謎のままだ。だが今回、ひなたと交わした会話のなかに、その正体に迫るヒントが隠されていたというのである。

 ひなたから「回転焼き」という名称を教えられると「そういう名前なの」と語っていたアニー。もし彼女が安子なのであれば、和菓子屋の娘として回転焼きという商品名を知らないことは有り得ないはずだが、ここでのアニーはいかにも初めてその名前を聞いたという様子だった。

 そんな回転焼きについて美味しさの秘密を尋ねると、ひなたは「おまじない(magic spell)をかけているからです」と説明。英訳するのは難しいと言いながらひなたが「小豆の声を聞けえ…」といったおまじないを英語でそらんじてみせると、最後まで聞き終わらないうちにアニーは「でもごめんなさい、行かなきゃ」と言って、慌てて道場を出て行ったのである。

「この場面こそアニーが安子本人ではなく、安子に近しい人物である証拠ではないでしょうか。もし彼女が安子自身であれば、ひなたから『おまじない』という言葉を聞いた時点でもっと動揺しているはず。その一方でおまじないの内容を聞くうちに、それが安子から聞かされていた内容と同じであることに気づき、動揺したように思えてなりません」(前出・テレビ誌ライター)

果たしてアニーとひなたに血の繋がりはあるのだろうか? トップ画像ともに©NHK

 だが一方で、これらの場面が制作側のミスリードだと警戒する向きもあるという。

「昭和26年に娘のるいを置いて、進駐軍将校と共に渡米していた安子。当時、5万人近くもいたという“日本人花嫁”の一人となった彼女が、慣れないアメリカ生活で相当な苦労を強いられたことは想像に難くありません。その生活で徹底的に現地に同化しようとするうち、日本での生活はおろか日本語すらも忘れてしまうケースは少なからずあったようです。仮にアニーが安子だとして、渡米からすでに50年超が経っていますし、回転焼きやらおまじないといった記憶が心の奥底から引っ張り出されるのに、相当な時間や手間がかかることも十分にありえるでしょう」(前出・テレビ誌ライター)

 これまでの行動や言動から、どうやら岡山に何かしらの縁を持っている様子のアニー。これでひなたの母親・るい(深津絵里)に出会うことがあれば、一気に物語が進展する可能性も高そうだ。