【ちむどんどん】和彦が運命の人になる?「“君”じゃなくて暢子でいいよ」の殺し文句は伏線なのか

 その表情に、将来どんな美人になるのかと期待感を抱いた視聴者も少なくなかったことだろう。

 4月14日放送のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」第4回では、東京から沖縄の山原村に研究旅行で来ている青柳史彦と和彦の父子が、比嘉家の夕食に招待される場面が描かれた。

 大学教授の史彦は民俗学者であり、沖縄の習俗を研究。息子で中学生の和彦は、東京育ちゆえに最初のうちは初めての沖縄に慣れていなかったが、比嘉家との交流を通してだんだんと心を開いていったようだ。

 そんな和彦が、ヒロインで小学5年生の比嘉暢子(稲垣来泉)にとって、運命の人になるかもしれない予感を抱かせる場面があったという。

 食べるのが大好きで、性格も人懐こい暢子は、和彦のことが気になって仕方がない様子。なにかにつけて、東京ではどんな美味しい物を食べていたのか質問攻めにしていた。そんな暢子のことを当初は疎ましく思っていた和彦だが、比嘉家で夕食をご馳走になったこの日、これまでとは違う顔を見せたという。

「夕食にはラフテーやジーマミー豆腐など、沖縄の地元料理が並ぶことに。そして比嘉家で作った沖縄そばも供されました。今では日本中の沖縄料理店で食べられる沖縄そばですが、全国に普及したのは1972年の本土復帰以降のこと。作中の昭和39年(1969年)には沖縄での従軍経験がある史彦でさえ『これが沖縄のそばですか? 私も初めてです』との感想を口にしていたのです」(沖縄マニアのライター)

 その沖縄そばを「うちが作ったそば」と言いながら食卓に持ってきた暢子。和彦に「おいしい? おいしくない?」と訊ねると、それまで無言を貫いていた彼は表情を崩し、「今まで食べたそばの中で一番おいしい!」とベタ褒めしたのであった。

 その答えに「まさかやー、真剣?」と喜び、思わず踊り出す暢子。和彦から「これ本当に君が作ったの?」と訊ねられると、実際にはほとんどを父親の賢三(大森南朋)がやったと明かされるも、「最後の味付けがウチがやったのにぃ」と不満顔だ。

「ここで暢子は『ねっ和彦くん。“君”じゃなくて暢子でいいよぉ』といたずらっぽく笑いかけ、和彦もすかさず『暢子』と返していました。それまで沖縄に対して心を閉ざしていた和彦が、暢子たち比嘉家の家族に心を開いた様子を象徴する場面でしたが、それと同時に暢子と和彦という二人だけの世界が花開いた瞬間でもあったのではないでしょうか」(女性誌ライター)

暢子と和彦が初めて食事を共にしたシーンは、後々意味を持ってくるのかもしれない。トップ画像ともに©NHK

 まだ小五の暢子だが、「暢子でいいよぉ」とのセリフはまるで男女間の駆け引きを見ているかのようだ。すかさず「暢子」と返した和彦に果たして恋愛感情が芽生えていたかも定かではないが、後のシーンにはその萌芽を感じさせる場面もあったという。

 それは終盤、暢子が青柳家を訪れていたシーン。史彦は机に向かい、研究旅行の取材をまとめている様子だ。そして暢子と和彦は縁側に座り、二人でシークワサーの実を味わっていた。

 シークワサーの酸味に和彦が顔をしかめると、暢子は冬になったら黄色く熟して甘くなると説明。すると和彦は「冬か…もう東京にいるな」とつぶやいていた。暢子が「いつ東京に帰る?」と質問し、運動会が終わったらと答える和彦に、暢子は「連れて行って! 東京にはおいしいものがたくさんあるんでしょ?」と目を輝かせたのだった。

「この場面で『いつ東京に帰る?』と問いかけた暢子の表情には、小五とは思えない艶っぽさがまとっていました。演じる稲垣は小六になったばかりの11歳ですが、その表情には大人になったら艶っぽい女性になる予感を抱かせましたね。しかも和彦にすかさず『連れて行って!』と懇願するあたり、暢子には男殺しの才能もありそう。和彦を演じているのは16歳の田中奏生ですが、成長後の暢子を黒島結菜が演じるように、和彦の役も宮沢氷魚に交代することがすでに発表されています。そう考えると今回の二人の会話は、大人になった暢子にとって和彦が運命の人になる予感を抱かせたのではないでしょうか」(前出・女性誌ライター)

 いずれは料理人を目指して沖縄を出ていくはずの暢子。その時、彼女が頼るのは同郷の沖縄人なのか、それとも彼女の沖縄そばを褒めてくれた和彦なのか。どうやら第4回にして早くも、和子の運命を巡る伏線が張られ始めたのかもしれない。