10周年で活動終了の「大阪☆春夏秋冬」にラストインタビュー! part.1

 ライブアイドルシーンで確固たるポジションを確立し、2017年にはエイベックスからメジャーデビューも果たしていた5人組グループの「大阪☆春夏秋冬」(略称:しゅかしゅん)が、4月29日のラストライブで現体制での活動に終止符を打つこととなった。

 アイドル夏フェスの「TIF」や「@JAM」ではメインステージの常連で、コロナ禍前の2019年には「a-nation」や「イナズマロックフェス」といった大型フェスにも出場した実績を持つ実力派だ。

 奇しくもグループ結成10周年にあたるこの日、ラストライブのチケットはすでに完売しているが、ライブの模様はCS放送のテレ朝チャンネル1で生中継される。最後の大一番を控えたメンバーにasageiMUSEでは緊急取材を敢行。「大阪☆春夏秋冬 最後のインタビュー」で彼女たちは何を語ってくれたのだろうか。

【大阪☆春夏秋冬】
2012年4月に結成。大阪を地元にリードボーカルMAINAの類まれなる歌唱力と、全員がダンススクール出身という高いダンススキルで、アイドル界に確固たる地位を築いてきた。「TIF2015」に初出場を果たした際には「TIFで見つかったアイドル」として話題を呼び、直後に開催した東京ワンマンライブの「ハチハチ」(渋谷クアトロ)は満員御礼に。代表曲の「Let you fly」は他のグループにもカバーされるなど、アイドル界を代表するアンセムソングとなっている。

大阪☆春夏秋冬:前列左からRUNA、EON。後列左からYUNA、MAINA、MANA。

■ファンが活動休止を寛大に受け入れてくれました

――活動終了を発表してから、『全国ツアー2022 「Thanks for 10th」~歌い続ける僕らの唄~』で各地を回ってきました。その印象について教えてください。

MANA それまでのライブももちろん、全部「楽しいが一番」の思いでやってきましたが、今回の全国ツアーはこの10年間で最も純粋に「楽しい」だけで楽しめてるなと感じています。というのもしゅかしゅんは全員が結構真面目なので、ライブ後は真剣に、深刻な顔をして振り返りや反省をしていました。今日より明日をより良くするためにどうしたらいいかを常に考えながらライブを繰り返していたので、楽しいなかにも「あーしなあかん、こーしなあかん」っていうのがあったんです。

 でもこのラストツアーでは純粋に、目の前の人のことだけを考えて、いま自分が持てるすべてを出せればいいと思えるようになったので、純粋に楽しいという気持ちが一番強くなってると思います。一瞬一瞬がより大切で、惜しいと思うようになったので、自然と今の時間を大切にして、大好きな人たちと過ごせる時間をめいっぱい楽しむことに100%捧げてるのかな。

RUNA これは私だけじゃないんですけど、ツアー全体を通して気持ちがすごく上下するライブになっています。ふとした時に「これがあと何回で終わっちゃうのかな」ってブワァっと泣いたり、でも次の曲ではめっちゃハシャいで、MCではめっちゃボケてみたいな。自分でもちょっとびっくりするぐらいに情緒不安定というか、めっちゃ素で、ありのままでステージに立ってライブができてるなって感じます

 これまでにもワンマンライブはたくさんやってきたし、ツアーでは回を重ねるごとに作り上がっていくものもあるんですけど、いまはやっぱり楽しいが一番なのかな。ファンの方もありのままを見せてくれていて、「ありがとう」って言葉をかけてくれることも多くて、一番ありのままでライブができているなって思います。

EON ほんまにナチュラルにライブができてて、なんか寂しくなって泣いてしまうこともありましたね。ライブに来てくださる「aKind」(あきんど、大阪☆春夏秋冬ファンの愛称)さんたちが活動休止を寛大に受け入れてくれているのがスゴい助かるというか、それがあるから感情をそのままで出せたし。そして楽しい時にはすごい楽しくて、自分が活動休止することを忘れるくらいライブに夢中になってますね。

 だからライブ中、ふとした時にファンの方が泣いてるのをチラっと見かけると「そうや。しゅかしゅん活動休止すんねや」ってそこでようやく思い出すくらい、ライブにのめりこめるている感じになってるなって感じています。

MAINA 時が経つのってこんなに早いのかって思いました。大阪☆春夏秋冬の楽曲って音圧のクオリティがやっぱスゴいんで、曲の構成も含めてライブハウスの爆音で聴けるのが最後ってことじゃないですか。だから私、リハーサルや本番前の誰もいないステージで、音響さんに頼んで爆音でトラックを流してもらっているんです。そうすればいろんな景色が蘇ってくるなと思って。それを聴きながらこういう風に歌ったらもっと楽しいんじゃないかなとか、ここはあえて煽りを入れないでおこうとか、今後もずっとライブがあるんちゃうかなってぐらいのテンションでトライしてるんですよ。

 これが普通だったら、最後のライブなんだから何も考えずに歌おうとか、何も考えずにライブしようとかなるんでしょうけど、たぶん最後の公演でも本番前になったら「もっとこうやって歌ってみよう」ってなる気がしています。そういう意味では、しゅかしゅんの曲ってやっぱりいいよねって思ってます。

YUNA 今はやっぱ寂しいですね。今回のツアーでも一曲一曲が終わるごと、会場をやりこなしていくごとに終わりが近づくわけで、寂しい気持ちがどんどんと募っていきました。でもそれ以上にライブが楽しいし、今だからこそ新しい夢が見つかるというか、今のしゅかしゅんだったらあのステージ立てるよなとか、あのイベントに出られるなという新しい夢が見つかりました。今の状態やからこそ、チャレンジできるんちゃうかみたいな気持ちが新しく芽生えてくるというか。

 これまでしゅかしゅんを10年間やってきましたけど、今が一番いい状態だと思いながらライブしています。

4月26日には「矢口真里の火曜The NIGHT」(ABEMA)に生出演し、ファンク調が特徴な「New Me」を披露した。※画像は1月の新横浜公演より。

――大阪☆春夏秋冬の活動終了は本当にサプライズで、ファンの方も驚いていたわけですが、グループの状態がいい今だからこそ「ここで終わるのが正解」という考え方もありそうです。

EON 最初のうちはやっぱり、私が話できたファンの人たちは「寂しい」が大きくて、<勘付かなかった><すごい急だった>という感想が本当に多かったです。でも最後のツアーを重ねて何公演もやっているうちに、みなさんの気持ちも寂しいから楽しいに変わっていって、自分で言うのもなんですけど、パフォーマンスを観て納得してくださったのかもしれません。最近は<いまこの最高のまま終えてくれるんやな>って言ってくださる方もいて、私自身もまさにそうだなって思っています。

MANA いまのスゴく良い状態っていうのは、現体制の終了が決まってのツアーだからこそ、この状態にできているんだなと思う部分もあります。ただ私が言えることじゃないかもしれないですけど、いま辞めるという決断をしたことは、正解ではないかもしれへんけど間違いでもない。これもひとつの答えなんだなって、ツアーを進めるごとに思えるようになりました。ファンの方からは、ラストライブの10周年に向けて<どんどんみんなきれいになっていくね、ダンスも歌も最高になっていってるね>みたいなことをおっしゃってもらえてます。どんどん好きになるよって言ってくださる方もすごく多いんです。

――大阪☆春夏秋冬がここで活動終了することは、メンバーさんもファンもそれが正解だと腑に落ちていると思います。一方でファンの側としては、いつかどこかのタイミングでまたメンバーさんが集まって、ライブしてくれないかなという思いもあるはずです。

EON 正直、いまの空気感やったら百パーありますね。メンバーの空気感とか最近のライブの空気感的に、もはや「絶対あるやん」という感じですね。逆に言うと今回の活動終了が、ちょっとお休みいただきますみたいに見えていたとしたら気まずいです。2年くらいお休みをいただいてまた復活みたいな、これから春休みみたいに見えていたら恥ずかしいですね。でもやっぱ自分たちのライブにはスゴく誇りを持ってるし、ツアーをやればやっぱ最強という実感しかないんで、むしろ今もまだやりたい、5月からもまだやったろかっていう気持ちもあります。

YUNA ええ、やってくださいよ!

EON やらないですよ(苦笑)。いま家だからこのくらい言ってるけど(※リモート取材)、みんなでラストライブに向けて走ってるんで。みなさん、これからもよろしくお願いします。

――ラストライブを控えてファンのなかには、今後これほど入れ込めるグループが出てくるのかという不安もあります。そんなファンに何かアドバイスをもらえますか。

MANA 私の方こそ教えて欲しい気持ちがあります(笑)。私たちもこれまでしゅかしゅんが人生の優先順位で一番でした。「一番にしなきゃ」と思ってたわけじゃなくて、自分の中でずっと心の中心にあったものがしゅかしゅんだったんです。だからどうしたらいいのかって訊かれたら、「一緒に頑張りましょう」って言いたいです。

RUNA アイドル界ではこの何年かで、私たちが仲良くさせていただいていたグループの活動終了がどんどん発表されてて。毎年フェスに行くたびに、友達がだんだん少なくなっていくことがやっぱ寂しいなあと思ってました。そういう自分たちも活動終了を発表してしまった側なんですけど、アイドル業界をもっともっと盛り上げていってほしいです。しゅかしゅんがずっと育ってきた場所だし、誇りに思っている場所なので、「よろしくお願いします」って伝えたいです。8月には夏のTIFも復活しますし、出たかったなという思いはありますけど、リアルで楽しめるイベントをファンの方に託したいです。

YUNA 世の中には「誰かのために」という人生を送ってきた人がすごく多いと思うんです。ファンの方もアイドルを応援するっていう想いで、私たちを支えてくださっていたと思います。だからこのタイミングで、今までとは逆に、自分のために時間を使ったりして欲しいなってすごい思ってて。このツアーではファンの方と一緒に「悔いなくやりきる」ということをやってきましたし、それ以降に自分の人生を悔いなく送れるという何かを一緒に探して行けたらいいなって思ってます。

MAINA 私はライブの時、タイトルコールの最後でよく「“終わらない歌”を歌おう」って言ってるんです。音楽は終わらない。だから寂しくなったら、私たちの音楽を聴いてほしいです。これからも私は音楽を作って、いっぱいレコーティングして、YouTubeにもいっぱい上げて、そこに有り続けるものをちゃんとどこでも聴けるように発信していくから、寂しくならないで大丈夫です!

(カゲ)