学園ものドラマで制服のよく似合っていた少女が、築き上げてきたキャリアとプライベートの変化を糧に、母親役の似合う女優へと成長を果たしたようだ。
初回放送から誘拐事件や人間ドラマがノンストップに展開されることで注目を集めている日曜劇場「マイファミリー」(TBS系)。主人公の鳴沢温人を嵐の二宮和也が務め、温人の妻で料理研究家の鳴沢未知留を多部未華子が演じている。
その多部は2019年に写真家と結婚し、昨年12月に第一子を出産。本作が母親となってから初のドラマ出演となることでも話題になっている。
「多部はクセのある役を数多くこなし、コメディエンヌとしての一面も見せる演技派の女優。一方で中学生の時から芸能界で活躍していたこともあり、2007年のドラマ『山田太郎ものがたり』や2011年のドラマ『デカワンコ』、そして2010年の映画『君に届け』といった出演作では、衣装面での演出などもあって視聴者に可愛らしいイメージを与えていました。そこから10年以上が経ち、今回の『マイファミリー』では誘拐犯に懸命に立ち向かう母親を熱演。彼女の特長でもある目力の強さを活かし、凛とした強さを感じさせる演技を見せています」(テレビ誌ライター)
温人と未知留の夫婦は鎌倉に豪邸を構えるセレブながら、冷え切った仮面夫婦という一面も。それゆえドラマの序盤では真顔や怒った表情で会話する場面が多かったものだ。
それが5月1日放送の第4話では、一転して夫婦で協力するシーンが増え、二人の会話にも穏やかさや支え合おうとするような温かさが感じられるように。ストーリーが進むのと共に変化を感じられる展開となっている。
「本作での未知留は、娘の友果を誘拐される母親という役どころ。子どものことを思いやる気持ちを表現するセリフが多く、多部としては自身の経験や気持ちの動きが糧となっている部分も多いのでしょう。そんな彼女の演技にはこれまでにも増して説得力や安定感が感じられ、もはや『多部ちゃん』ではなく『多部さん』と呼びたくなってしまいますね」(前出・テレビ誌ライター)
夫婦が協力することで無事に誘拐犯から娘を取り戻すことに成功するも、そこから1年後に今度は温人の親友がまたもや娘を誘拐されることに。連鎖する誘拐事件に<先の展開が読めない。謎すぎる><犯人は身内だったりして>などと視聴者の考察も止まらないようだ。
そんな考察好きの好奇心をくすぐりつつ、家族や大切な人を今よりももっと大事にしようとの思いを馳せる機会も提供している「マイファミリー」。その根底にあるのは母親・多部が見せる子供への深い愛情なのではないだろうか。
(村松美紀)