校長役の内田有紀、キムタクを解雇したキレ芸で示した表現力の凄さ!

 そのキレ芸やツンとした態度に、説得力を感じた視聴者も少なくなかったようだ。

 5月12日に放送されたドラマ「未来への10カウント」(テレビ朝日系)の第5話では、松葉台高校のボクシング部でコーチを務める桐沢祥吾(木村拓哉)が、校長の大場麻琴(内田有紀)からクビにされる場面が描かれた。

 インターハイ予選に臨んだボクシング部では、女子部員の水野あかり(山田杏奈)が一人だけ2回戦にコマを進めたが、格上の京明高校に敗退。桐沢はあかりの健闘を称えるも、大場校長は無情にもコーチ解任を宣告したのだった。

「もともと桐沢は『絶対に勝つこと』を条件に雇われていた経緯があり、決して大場校長は横車を通したわけではありません。それどころかあかりの試合では、ライバル京明高校の校長と教頭が《なかなか頑張るなぁ、松高は》《1ラウンド持ちましたね》としゃくに障る言葉を大場に聞こえるように話していたことに腹を立て、『くそじじい!』とまで言い放っていたのです。このキレ芸には、最初の登場時から“美しすぎる校長”“奇跡の46歳”とネットでバズっていた内田に、新たな魅力を感じた視聴者も多かったことでしょう」(テレビ誌ライター)

 そのキレ芸は試合中だけに留まらない。非常勤講師でもあった桐沢が解雇されたことで、担当していた政治経済の教師を新しく見つける必要が発生。それを猫林はじめ教頭(生瀬勝久)が伝えると、大場校長は「あなたは何の先生だっけ? あなたが教えればいいじゃない?」と、作業の手を止めることなくノールックで言い放ったのである。

 猫林教頭は教壇から離れていたことで授業に不安があると伝えるも、大場校長から問答無用とばかりに「はい?」と圧をかけられ、断りきれない状況に追い込まれてしまっていた。

「冷たい態度にも見える大場校長ですが、その背景を考えると生徒や学校のことを一番に考えた行動でもあり、決して自身の感情で怒っているわけではありません。文武両道の一流校を目指して不器用ながらもがんばる姿は人間味にあふれ、愛ゆえの言動ではないでしょうか。またキリッとした内田の表情は、真剣に業務に取り組む校長の姿を語るのに十分な説得力をたたえていました」(前出・テレビ誌ライター)

打倒・京明高校を誓った松葉台高校ボクシング部だったが、歯が立たない結果に終わっていた。ドラマ「未来への10カウント」公式ツイッター(@miraten_tvasahi)より。

 そんな大場校長の父親(柄本明)はボクシング部の前監督で、桐沢の恩師でもある。これまでもボクシングの話になると熱くなり、親子ともに譲れない様子が描かれてきたが、今回の第5話では今までで最も熱い言い争いとなっていた。

 桐沢の解雇について「お前には情ってものはないのか!?」という父の発言をきっかけに親子ゲンカがスタート。父親には桐沢をコーチに戻したい気持ちがあると察した大場校長は「学校を私物化しないでよ!」と、またもやキレていたのであった。

 このシーンに視聴者からは<ケンカのスタートが自然で良かった><本当のことを言われて逆ギレする演技がハマってた>といった評価の声が続出。内田の演じる大場は、校長やリーダーは強くないといけないと思っている様子で、<表情が怖かったけど伝わってきた>との声も出るなど迫力ある演技に賞賛の声が集まっていたようだ。

「怒ったままダイニングから出ていった大場は『情がないなんて言われたら、誰だって頭にくるわよ』と、寂しそうな表情を見せました。普段は校長として何かとキレたりツンと突き放したりする大場ですが、内田はその背景に抱える感情を丁寧に表現しており、演技力の凄みが伝わってきましたね」(前出・テレビ誌ライター)

 ボクシングと学校に覚悟を持って向き合っている大場校長は熱い性格で、キツい表現ゆえに誤解されやすいタイプかもしれない。周りの人や自分自身に対してもっと素直になることができれば、愛が深い人であることが理解される日も近そうだ。

(村松美紀)