「ミステリと言う勿れ」コミックスの乱丁、なんともミステリな出来事だった!

 1月期に菅田将暉の主演作として月9枠で放送され、高視聴率をマークした月9ドラマの「ミステリと言う勿れ」(フジテレビ系)。原作の同名コミックスが累計1600万部の大ヒットとなるなか、最新刊の第11巻にて発生したトラブルが話題になっているようだ。

 6月10日に発売された「ミステリと言う勿れ」第11巻は、放送終了後では初の新刊とあって、原作ファンはもちろんドラマ版で本作を知った新規ファンのあいだでも話題沸騰。オリコンの6月20日付「週間 コミックランキング」では初登場1位の人気を呼んでいた。

 ところが発売日当日に、版元の小学館では「ページ順入れ違いのお詫びと訂正」と題したリリースを発表。第11巻にてP41とP42が入れ違っていたことが明かされたのである。同社では読者ならびに作者の田村由美氏に対して「多大なるご迷惑をお掛けしてしまい心よりお詫び申し上げます」と謝罪。ページ順が正しい新刷版との交換も進めていくとしている。

「この発表を受けて、メルカリなどのフリマアプリでは『エラー版』を定価以上で出品するケースが発生。すでに第11巻を入手した読者からも《せっかくなのでこれはこれで手元に置いておきたい》といった声があがっており、“エラー切手”と同様のレアアイテムと捉える人たちもいるようです」(出版関係者)

 ともあれ、今回の「ページ順入れ違い」はなぜ発生したのだろうか。これが昭和の時代であれば、生原稿を取り扱う際にどこかの時点でページが入れ替わってしまう可能性はあったし、実際にそういった例も稀ではなかった。

 もちろん制作工程においては複数の編集者が目を通すものだが、マンガというフォーマットにおいては、ページが入れ替わっていても意外にすんなりと読み進められることは珍しくない。実際、今回のコミックス第11巻においても、版元からの発表を知るまでページが入れ替わっていることに気づかなかった読者も多かったようだ。

「ネタバレになるので詳しいことは省きますが、該当する2ページは主人公の大学生・久能整がとある建物の中を歩き回っているシーンになっています。そのためページの入れ違いに気づきづらいのも無理はありません。じっくりと読み込めば、P41の最後のコマとP43の最初のコマで話が繋がっていることが分かるのですが、そこを見過ごしてもストーリーの理解には影響がないので、スルーされてしまったのかもしれませんね」(前出・出版関係者)

 ここで気になってくるのは、本作品を連載している「月刊flowers」ではどうだったのかということ。本誌掲載時にすでに入れ違っていたのか、それともコミックス化する際に入れ替えが発生してしまったのか、ここはぜひ確認したいところだろう。

 そこで今回、編集部では掲載誌の「月刊flowers 2022年2月号」を入手。該当ページを連載時とコミックスで比較してみた。その結果、「これぞミステリ」と言いたくなるような驚くべき出来事が確認できたのである。

「ミステリと言う勿れ」の当該エピソードが連載されていた「月刊flowers 2022年2月号」

「結論から言うと、ページが入れ違っていたP41とP42は、本誌連載時には存在していませんでした。コミックス化に際して、2ページ付け加えられた形です。それに加えてP40も少し変更されており、連載時のP40にあった最後のコマが、コミックス版ではP41(本来ならP42)の途中に移されていました。追加された2ページについては丁寧に読み込めば順番が分かるものの、コミックスの制作にあたって移動したコマがまさか2ページ先にではなく、隣のページに移ったと勘違いした可能性も十分にありえそうです」(前出・出版関係者)

 正しいページ順を意識しながらコミックスを読んでみると、本誌連載時よりも建物の情景がビビッドに伝わってくることが分かる。そのビビッドさゆえに、コミックスの制作に関わった人たちも、ページの入れ違いに気づかなかったのかもしれない。