【ちむどんどん】その時、愛は手にナイフを…厨房での会話シーンに視聴者が感じた恐怖!

 ドラマチックなことは何も起こらなかった。そう安心した視聴者もいたようだ。

 7月5日放送のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」第62回では、イタリア料理店「アッラ・フォンターナ」の厨房で、ヒロインの比嘉暢子(黒島結菜)と東洋新聞記者の大野愛(飯豊まりえ)が二人きりで話し込む場面が描かれた。ここで一部の視聴者は、凄惨な事件の発生を危惧していたという。

 何年も前から同僚の青柳和彦(宮沢氷魚)と交際している愛。だが和彦は未だ正式にプロポーズしてくれないうえ、両親は娘の結婚にやたらと前のめりで、結婚式場を勝手に予約してくる始末。彼氏と親の板挟みとなっている愛だが、肝心の和彦はどうやら暢子にも気がある様子だ。

 そこで暢子の真意を確かめるべく、暢子の勤務先にまで押しかけた愛。すると暢子はあっさりと「うち…和彦くんのことが好き」と悪気なく明かしたどころか、「でもさ、諦める」と勝手に撤退宣言したのだった。

 暢子の無意識な身勝手さが露呈していたこの場面。なんともドラマチックと言えそうな展開だったが、一部の視聴者はこれらの場面に拍子抜けしていたというのだ。

「だって考えてみてもください。自分の彼氏を取られそうな女子が、相手の勤務先に乗り込んだあげく、二人きりでの直談判に挑んだんですよ。そこで『諦める』とは言われたものの、これで腹の虫が収まるとはとても思えません。しかも場所はレストランの厨房。ここで愛は、暢子がやっていた下ごしらえを手伝うと言い張り、遠慮する暢子を説き伏せて、玉ねぎの皮むきを始めました。これはもはやサスペンスドラマの展開そのものです」(テレビ誌ライター)

厨房で二人きりの愛と暢子。凶器になる物はいくらでもあるはずだが…。トップ画像ともに©NHK

 言うだけ言ってスッキリした暢子の横で、自分の彼氏を巡ってもやもやしている愛。その愛が手にしているのは皮むき用の包丁だ。これが夜22時台のドラマだったら、血を見る展開となるのは明らかではないだろうか。

 しかし、そこは平和主義の朝ドラ。女同士のドロドロは描いても、さすがに刃傷沙汰は避けたいところだろう。そんな緊迫の場面を救ったのは朝ドラではおなじみの展開だったのである。

「厨房で繰り広げられる二人の会話を、オーナーの大城房子(原田美枝子)が扉の外で立ち聞きしていたのです。彼女は相当ハラハラしながら二人の会話を聞いていたはず。ここで作中でこそ示されていないものの、愛は誰かが厨房の外にいることに気づいたのではないでしょうか。つまりオーナーの存在が、愛を踏みとどらせる要因となっていたのかもしれません」(前出・テレビ誌ライター)

 ここで愛が暢子に切りかかったとしても、愛を責める視聴者は少なかったはず。だが制作陣はそんな筋書きを避けていた。いくら「ちむどんどん」がとんでもドラマだとしても、さすがに朝ドラの流儀からはみ出すわけにはいかなかったのかもしれない。