【ちむどんどん】こんなの沖縄角力じゃないはず!もはや「沖縄県民に謝罪すべき」事態に

 さすがに沖縄県民もガチで怒っているのではないだろうか? 沖縄をテーマにした朝ドラにおいて、600年の歴史を持つ「沖縄角力」のルールを捻じ曲げるという、あってはならない事態が発生したのである。

 7月14日放送のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」第69回では、横浜・鶴見の沖縄県人会が主催した「沖縄角力大会」の様子が描かれることに。一回戦で対戦したのは沖縄出身で食品卸会社を営む砂川智(前田公輝)と、東京生まれで東洋新聞記者の青柳和彦(宮沢氷魚)だった。

 智は二年連続で大会を制している実力者。一方の和彦は大会への参加が初めてで、沖縄の歴史を取材する一環として自分も沖縄角力を体験するのが目的だった。本来ならここは智の楽勝で終わるはずだ。

 ところが状況は一変。智は今回優勝したら、同郷でヒロインの比嘉暢子(黒島結菜)にプロポーズするつもりだという。それを人づてに聞いた和彦も、大野愛(飯豊まりえ)という婚約者がいながら内心では暢子に惹かれており、智の優勝を阻みたいとの気持ちが生まれていたようだった。

「前回の放送では二人の取組が白熱。和彦が必死の形相で踏ん張り、焦った智は『なんでそんな頑張るわけ!?』と口走っていました。そして二人は組み合ったまま横倒しに。智のヒザが先に土俵についていたようにも見えたところで《次回に続く》となっていたのです」(テレビ誌ライター)

 この場面に一部からは<智が負けた!?>との声が出たものの、冷静な視聴者からは<いや、まだ勝負はついていない>との指摘が入っていた。というのも沖縄角力のルールは相撲と異なっており、相手の背中を地面につけることが勝利の条件だからだ。今回の取組で二人は半身のまま倒れており、いずれの背中も地面にはついていなかったのである。

 それゆえ今回、視聴者は智と和彦の取組が続行するものだと思っていた。ところが行司は「赤、砂川!」と智の勝利を宣告。観衆から<おかしいだろ!>といった声があがると、今度は「白…、青柳…」と自信なさげに和彦の勝利を宣告する有様だ。

 土俵を見守っていた観衆たちが<どっち?>などとざわめくなか、やおら沖縄県人会会長の平良三郎(片岡鶴太郎)が立ち上がることに。ここは当然、まだ勝負はついていないと指摘するのかと思いきや…。

「なんと三郎は『同体! 取り直し!!』と宣告したのです。しかし沖縄角力ではどちらかの背中がつかない限りはまだ勝負がついておらず、ここで同体の判定はありえません。ところが沖縄県人会の観衆たちは誰一人としてその《ルール捻じ曲げ》を批判することなく、取り直しという宣告に全員が拍手喝采を送っていたのです」(前出・テレビ誌ライター)

暢子と愛が見守るなか必死の取組を見せる智と和彦。しかしその決着は不自然なものに終わっていた。トップ画像ともに©NHK

 もはや沖縄角力600年の歴史まで捻じ曲げてしまった「ちむどんどん」。これまでにもさんざん、イタリア料理がおかしいとか時代考証がなっていないなどと数多くの批判にさらされてきた本作だが、今回の「ルール捻じ曲げ」はさすがに看過できないレベルのミスではないだろうか。

「これまでも数々の不自然な点はあれど、解釈の違いやケアレスミスとの言い訳ができなくもなく、視聴者も大目に見ていたもの。しかし沖縄角力のルール捻じ曲げについては、さすがに許容することはできません。本作は沖縄の本土復帰50年を記念して、沖縄出身者の暢子をヒロインにした作品です。それなのに沖縄角力600年の歴史を捻じ曲げるとは、もはや制作陣が沖縄県民に対して謝罪すべきレベルの重大な誤りではないでしょうか」(前出・テレビ誌ライター)

 もはや「ドラマだから」の言い訳では済まない今回のルール捻じ曲げ。果たして制作陣は今回のミスにどう対応するのか、視聴者としても注視していきたいところだろう。