【ちむどんどん】暢子は沖縄にどうやって帰るのか?「お盆に帰省」がうやむやになっていた!?

 そのあわてんぼうぶりで、自分の立てた旅程すら忘れていたのかもしれない。

 7月15日放送のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」第70回では、ヒロインの比嘉暢子(黒島結菜)が沖縄やんばる地方の実家から驚きの電話を受ける様子が描かれた。その際に、視聴者が矛盾を感じる場面があったという。

 昭和39年(1964年)に父親の賢三(大森南朋)が急病で亡くなって以来、独り身を貫いてきた母親の優子(仲間由紀恵)。7月12日放送の第67回では昭和53年のお盆を間近に控えたある日、叔父の賢吉(石丸謙二郎)が「再婚しなさい!」と強い調子で優子に迫っていた。

 再婚相手は、優子が働く村の共同売店で責任者を務める前田善一(山路和弘)。娘の早苗(高田夏帆)は暢子の親友で、善一も10年ほど前に妻を失っていた。以前から村のオバアたちは二人が再婚すればいいのにと囃していたが、優子はまさかの再婚話に大慌てだ。

 8月14日の朝、共同売店に出勤した優子は再婚話について切り出すが、善一も寝耳に水だった様子。だが優子の「善一さんもいい迷惑ですよね?」との言葉に対し、善一は「迷惑じゃない。俺は優子さんと再婚したい」と真面目顔に。予想外の返答に慌てた優子だったが、その会話をたまたま売店の前を歩いていた三女の歌子(上白石萌歌)が聞いてしまったのであった。

「驚いた歌子は長女の良子(川口春奈)に報告し、二人は横浜・鶴見で下宿している次女の暢子に電話。『どうしたらいいと思う?』と訊かれた暢子は『とにかく、すぐ帰る』と告げ、その場で友人の青柳和彦(宮沢氷魚)に『うち、やんばるに帰らないと!』と告げていました。母親が再婚しそうだという大事件に、居ても立っても居られなくなったようです」(テレビ誌ライター)

善一との再婚話が浮上した比嘉優子(仲間由紀恵)。トップ画像ともに©NHK

 慌てた様子で自分の部屋に戻っていった暢子。つい先ほど、和彦から「暢子とずっと一緒にいたい」と求愛されたばかりだったが、和彦には「さっきの話、ちょっとタイム」と告げ、面倒な話は後回しにするつもりのようだ。

 いかにも風雲急を告げるといった感じの場面だったが、果たして暢子と和彦の仲はどう進展していくのか。そして優子は本当に再婚するのか。母娘それぞれに恋バナが進行するなか、暢子の発言に疑問を抱く視聴者も少なくなかったというのである。

「暢子の言動は、母親の再婚話を聞いたことであわてて沖縄に帰省する様子を示していました。しかし彼女はそもそも、お盆には実家に帰省する予定だったはず。それゆえ和彦に『とにかくすぐ帰る!』と告げたのは、当初の予定と矛盾しているのです」(前出・テレビ誌ライター)

 7月11日放送の第66回で暢子は、実家に送った手紙の中で「お盆には休みを取ってやんばるに帰ります」と告げていた。沖縄のお盆は旧暦の7月13日~15日にあたり、昭和53年のカレンダーに当てはめると8月16日(水)~18日(金)に相当する。

 一方で前回までは、鶴見沖縄県人会が主催した沖縄角力大会が物語の舞台となっており、同大会は8月13日(日)に開催されていた。そこから一夜明けて、第70回では日付が8月14日(月)となっており、その夜に暢子は沖縄からの電話を受けていたのである。

「暢子はもともと8月16日のお盆初日(ウンケー)には帰省する予定だったはず。ところがその予定がなかったかのように『とにかくすぐ帰る!』と言い出したのですから、なんともおかしな話です。暢子は仕事帰りに電話を受けていたので、その日のうちに沖縄に飛ぶフライトには間に合うはずもなく、翌日は全国的にお盆真っただ中ですから沖縄便に空席などありません。まさかそういう事情や経緯を全部すっ飛ばして、暢子が8月15日の羽田=沖縄便に乗るということなんでしょうか」(前出・テレビ誌ライター)

 もちろん、暢子が最初から8月15日のフライトを予約していた可能性は十分にある。それなら慌てて自分の部屋に戻る必要はないし、そもそも実家からの電話に「すぐ帰る!」と告げることもないはずだ。

 もっとも「整合性のなさ」は本作が得意とするところ。カレンダーを心配していたら、母娘それぞれの恋バナを楽しむこともできないということなのだろうか。もはや視聴者のほうも「ちむどんどんの楽しみ方」をマスターすべきなのかもしれない。