山田杏奈が「新・信長公記」のヒロインにたどり着くまでにたどった回り道とは

 8月7日に第3話が放送されるドラマ「新・信長公記~クラスメイトは戦国武将~」(日本テレビ系)にて、ヒロインの日下部みやび役を務める山田杏奈が注目を集めている。

 同作は2120年の不良高校「銀杏高校」を舞台に、名だたる戦国武将たちのクローンが“総長”を目指して争うという物語。King & Princeの永瀬廉が織田信長役で主演を務め、武田信玄(満島真之介)や伊達政宗(三浦翔平)、転校生の徳川家康(小澤征悦)などアクの強い俳優が勢ぞろいしている話題作だ。

 視聴率こそ第2話で5.4%と危険水準にあるものの、唯一の“普通の女子高生”を演じる山田のキュートさは、男くさい場面が続く本作にて一服の清涼剤に。なによりクセ強のキャラたちを向こうに回してヒロインを張れること自体、山田がいかに存在感を示しているかを表していると言えるだろう、

「山田は“目力の強さ”に加えて、暴力的とまで言われた透明感が持ち味。4月期ドラマの『未来への10カウント』(テレビ朝日系)では木村拓哉がコーチを務める高校ボクシング部にて、唯一の女子選手という難しい役どころを見事にこなしていました。当然、ボクシングは未経験でしたが、半年間にわたるトレーニングを経て、体幹を上手く使えば女子でも強いパンチが打てるという基礎をマスターしたそうです」(テレビ誌ライター)

山田杏奈ファースト写真集「PLANET NINE」の表紙でも、目力の強さを確認することができる。

 見た目とは裏腹に、運動神経には自信がないという山田。それでも「未来への10カウント」のボクシング部員に加え、今回の「新・信長公記」でも剣道の達人として殺陣を披露するなど、演技のためには不得手のジャンルもマスターする粘り強さは特筆ものだろう。

 加えて演技力は若手女優の中でもピカイチとして知られ、向かうところ敵なしに見える山田。だが意外にも彼女の女優人生は大きな回り道を余儀なくされていたというのだ。

 発売中のエンタメ誌「アサ芸Secret! vol.77」(徳間書店)では、彼女が小5で芸能界入りした時点からの足跡を丹念に追った特集「山田杏奈『遅咲きの天下取り』ヒストリー」を掲載。それを読めば、彼女が歩んできた足跡の“クセの強さ”に驚くことは請け合いだ。

「目力が強すぎるからなのか、彼女に回ってくる役はクセの強いものが多く、映画化もされたドラマ『咲~Saki~』ではメガネっ子キャラの染谷まこ役で出演。主演の浜辺美波ら主要キャラ5人の一人でしたが、メガネの印象が強すぎたのか同作に山田が出演していたことを知らない人も多いようです。しかも作中ではおじいちゃん子という設定のため、監督からは『加齢臭を出して!』との無茶振りもあったとか」(前出・テレビ誌ライター)

 2018年には映画「ミスミソウ」で初の主演を射止めるが、その内容は家族を殺された女子高生が人生を懸けた復讐に挑むというもの。本人もまさかこの役が回ってくるとは思ってもいなかったようだ。

 同年には「幸色のワンルーム」(朝日放送)でドラマ初主演も果たしたが、山田の役は入水自死を図る女子高生というもの。彼女をストーカーしていた男に救われたことで“被害者と誘拐犯”の奇妙な同棲生活が始まるというストーリーだった。

「その内容からキー局のテレビ朝日は同ドラマの放送を断念。そのため山田の記念すべき初主演ドラマは関西ローカルという結果になりました。目力の強さと演技力の高さゆえ、同い年の女優にはとても演じられないような難しい役もこなせることが、時には裏目に出ることもあったわけです」(前出・テレビ誌ライター)

初主演作となった映画「ミスミソウ」は、山田だからこそ主役を演じられたのかもしれない。

 キラキラした役柄やラブコメとは無縁だった山田。それでも彼女は着々とキャリアを積み上げ、2019年5月公開の映画「小さな恋のうた」ではバンドでギターとボーカルを務める女子高生役を好演。持ち前のガッツでほぼ未経験だったギターもマスターし、その演技で「第41回ヨコハマ映画祭」の最優秀新人賞を受賞した。

 このころから明るいキャラの役にも恵まれるようになってきた山田。同年には「東京ガールズコレクション2019 A/W」で初ランウェイを飾るなど、その美貌や存在感が広く知られるようになっていったのである。

 そして今年、木村拓哉との共演を経て、「新・信長公記」では戦国武将たちに負けずとも劣らない“天下取り”を果たしつつある山田。その美貌で視聴者を惹きつける山田のバックグラウンドを知れば、ドラマ視聴がさらに盛り上がることは確実だろう。