おめでたい席に親戚を呼ばないとは、比嘉家がいかに薄情なのかを白状したようなものではないだろうか。
8月12日放送のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」第90回では、ヒロインの比嘉暢子(黒島結菜)と新聞記者の青柳和彦(宮沢氷魚)が、暢子の勤務先であるイタリア料理店の「アッラ・フォンターナ」で披露宴を開く模様が描かれた。その場面に、いるべき人が呼ばれていなかったという。
前回、妹・歌子(上白石萌歌)の仮病にまんまと騙され、フォンターナまで足を運んだ幼馴染の砂川智(前田公輝)。暢子にプロポーズするもフラれてしまい、そのショックで沖縄に戻っていた智を、わざわざ自分の披露宴に呼びつける暢子の無神経ぶりには視聴者もビックリだ。
ただ前回、暢子が歌子に送った手紙には「智に会うことがあったらよろしく伝えてください」としか書いてなく、航空券は歌子と母親・優子(仲間由紀恵)の分しか同封されていなかった。ということは智が披露宴に出席したのは、あくまで歌子の機転によるものだったのだろうか?
「いやいや、暢子は最初から智を呼ぶ気まんまんだったようです。というのも披露宴の席次表には最初から『砂川智』の名前が入っていましたからね。作中では前回、二ツ橋シェフ(髙嶋政伸)が手にした席次表に読み取れない程度に名前が載っているだけでしたが、ドラマの公式ツイッターに掲載された画像には、智が現れる前から、席に『砂川智』と書かれた名札が置かれているのがバッチリ写っていましたからね」(テレビ誌ライター)
実際、智が座った列にはもともと、座席が5つ用意されていた。智以外は優子、歌子、兄の賢秀(竜星涼)、そして親友の早苗(高田夏帆)となっており、賢秀が仕事の都合で欠席になったことから、その分の席が外され、智を含めた4人で座っていたのである。
しかし、常識的に考えれば智のために用意された席には、別の人物が座るべきだったという。その人物とは暢子にとって、沖縄県在住者としてはたった一人の肉親(親戚)なのだが、なぜかこのおめでたい場に呼ばれていなかったのだから驚きだ。
「それは暢子の大叔父にあたる賢吉です。賢吉は亡き父親の賢三(大森南朋)の叔父にあたる人物で、かつては比嘉家と一緒にサトウキビ畑を経営。しかも比嘉家では賢吉に借金の保証人になってもらっており、生活を支えてくれた大恩人でもあります。それゆえ普通なら暢子の披露宴には絶対に呼ばなければならないはずですが、なぜか暢子と和彦は賢吉ではなく、智を呼ぶつもりだったのですから、その常識外れぶりには驚きますね」(前出・テレビ誌ライター)
その賢吉は披露宴が催された前年の夏には、優子に再婚を迫るなどまだ健在だった。ただ可能性としては、そこから半年間のあいだに亡くなっていたという筋書きは有り得る。いつのまにか死んだことにされていたのであれば、賢吉の扱いがなんとおろそかなのかと、比嘉家や制作陣の薄情さに視聴者も呆れ果てることだろう。