この件、決してハッピーエンドとはならないのかもしれない。
8月28日放送の日曜劇場「オールドルーキー」第9話では主人公の新町亮太郎が、ドーピング違反で処分された水泳選手を助けるために奔走する姿が描かれた。
亮太郎はパリ五輪の有力候補である麻生健次郎(渡辺翔太)をサポート。麻生は国内大会で優勝を果たすも、尿から禁止薬物が検出され、ドーピング違反で4年間の資格停止処分を受けることとなった。
所属するスポーツマネジメント会社のビクトリーでは、社長の高柳雅史(反町隆史)が麻生との契約解除を決断。ドーピング違反で世間のイメージが悪くなった麻生をかばい続けると、会社の経営にも影響するという冷徹な判断だ。
「麻生の担当が元Jリーガーの亮太郎であることが世間にもバレてしまい、ネットでは麻生だけでなく亮太郎も叩かれることに。さらには亮太郎の妻で元女子アナの果奈子(榮倉奈々)までバッシングに巻き込まれる始末です。それでも亮太郎は自身もドーピング検査を受けてきた立場から、麻生の辛い気持ちが手に取るように分かります。そこで彼は周りの協力も得て、麻生がドーピング違反していないことを立証すべく、これまで口にしてきたものすべてを徹底的に調べあげました。そこで一筋の光明が見えてきたのです」(スポーツ系ライター)
それは麻生が、これまで飲んでいたアメリカ製のサプリメントをすべて、1粒残してケースごと保存していたこと。かつて五輪で銀メダルを獲得した亡き父親の教えで、いざという時に身の潔白を証明するための保険だった。
それらのサプリメントではもちろん、禁止薬物は含まれていないことがパッケージに明記されている。ところが、麻生が残していた1粒を専門機関で調査してもらったところ、微量ながら禁止薬物が含まれていることが判明したのである。
弁護士の説明によると、何かの理由でサプリメントが禁止薬物に汚染されており、麻生はそれを知らずに摂取していたとのこと。これで身の潔白が証明できた麻生は資格停止処分が4年間から4カ月へと短縮され、パリ五輪にも挑戦できることとなった。
無事に解決した麻生の禁止薬物問題。しかし解決に尽力した亮太郎は、麻生との契約を解除した社長との折り合いが悪くなり、ラストシーンでは電話でクビを宣告されていた。果たして亮太郎の運命はどうなるのか。しかし作中では描かれていないものの、亮太郎には今後、さらに厳しい問題が降りかかってくる恐れがあるというのである。
「今回の禁止薬物混入問題で黙っていられないのがサプリメントを製造したアメリカのメーカーでしょう。なにしろパッケージで禁止薬物が入っていないと明記しているのに、日本のマネジメント会社が《サプリメントが汚染されていた》と発表してしまったわけですからね。そのせいでメーカーへの風当たりは強くなり、当該サプリは一気に売れなくなることが確実。そうなるとメーカーにとっては死活問題であり、このまま見過ごすはずもありません」(前出・スポーツ系ライター)
今回の調査で証明できたのは、亮太郎らが提出したサプリ1粒が禁止薬物で汚染されていたということだけ。その禁止薬物がどの時点で混入したのかはまったく不明だ。そうなればサプリメーカー側では、亮太郎サイドが麻生を守るため、サプリを禁止薬物で汚染させたと主張する可能性も大きいだろう。
そうなると訴訟大国アメリカのこと、亮太郎サイドを相手取って巨額の損害賠償を訴えることになる。しかも勤務していたビクトリーでは当初から社長が麻生との契約解除を主張しており、亮太郎には調査の禁止を言い渡していた。そのため訴訟されるのは最悪の場合、亮太郎一人だけとなるかもしれないのである。
もちろん本作では、ドーピングの件は第9話と共に終了しており、亮太郎が訴えられることはないはず。だが本作に触発されてスポーツマネジメントの道に進みたいと思った視聴者は、そういった訴訟リスクも想定に入れておくべきかもしれない。