【舞いあがれ!】「失敗は悪いことじゃない」鮮やかすぎる伏線回収に号泣レベルの感動!

 その時点で、伏線だと気づいていた視聴者はどれほどいたことだろうか。

 10月12日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第8回では、ヒロイン・岩倉舞(浅田芭路)の祖母である才津祥子(高畑淳子)が手痛い失敗をしでかしてしまう場面が描かれた。その失敗が、鮮やかすぎる伏線回収に繋がっていたという。

 長崎・五島に暮らす祥子は船を所有しており、釣り客を釣り場の磯に送り迎えする瀬渡しの仕事をしていた。今回の序盤では釣り客二人を磯に送り、3時に迎えに来てほしいという釣り客に対して「余裕ば持って2時に迎えに来ますけん」と伝えていた。

 しかしいったん自宅に戻った祥子は、舞と一緒に作りかけのばらもん凧を完成させることに夢中となり、時間が経つのも忘れる始末。3時近くになってようやく瀬渡しのことを思い出し、大遅刻をしでかしてしまったのであった。

「前日の第7回では磯に向かう船の様子がラストシーンとなるなか、『でも、まさかあんなことが起きるなんて』とのナレーションが入っていました。果たしてどんな事件が起きるのかと視聴者はハラハラしていましたが、よもや祥子がうっかりミスを起こすだなんて誰が予想したことでしょうか。舞に何か災難が降りかかるのではと心配していた人も多かったこともあり、良い意味で予想を裏切られたのかもしれません」(テレビ誌ライター)

 五島で一人暮らししている祥子は身の回りのことをなんでも自分一人でこなし、さらには瀬渡しやジャム作りといった仕事にも精を出す万能タイプの人物として描かれていた。そんな祥子ですらうっかりミスを犯す姿はあまりにも意外に映ったことだろう。

 そんな祥子のミスが実は、重要な伏線に繋がっていたのである。その伏線は第7回、そして今回の第8回の冒頭でも示されていたという。

 第7回では舞がジャム作りを手伝う様子が描かれた。びわもぎではバランスを崩し、脚立の上に置かれていたかごをひっくり返してしまう。ジャムを瓶詰めする際にも不慣れな手つきでこぼしてしまっていたが、祥子は責めることなく「よかよか」とその失敗を認めていたのだった。

「夕食時に『失敗してしもた』と肩を落とす舞を、祥子は『失敗ばすっと、悪かこっちゃなかぁ』と励ましていました。失敗したことよりも、自ら進んでジャム作りを手伝った舞のことを褒めていたのです。その会話は第8回の冒頭でも回想シーンで繰り返されることに。この時点でも、まさか祥子が失敗をしでかすとは、ほとんどの視聴者は予想していなかったことでしょう」(前出・テレビ誌ライター)

 約束の時間に遅れてしまった祥子は、釣り客に「本当に申し訳ありませんでした!」と深々と頭を下げていた。何事にも完璧な祥子としては、孫の前で失態をさらしてしまった自分を恥じてしまいそうな場面だ。

お互いにギュッとハグした舞と祥子。視聴者も感涙だったことだろう。トップ画像ともに©NHK

 肩を落とす祥子に歩み寄り、そっと手を握った舞。驚く祥子に対して「おばあちゃん、失敗は悪いことやないんやろ?」と語りかけた姿に、視聴者は「こうやって伏線を回収するのか!」と驚き、感心していたに違いないだろう。

 舞の言葉に頬を緩ませ、そっと抱きよせた祥子。舞も祥子の背中に手を伸ばし、祖母と孫娘がハグしあった姿は、まさに号泣ものの感動シーンだったのではないだろうか。<こういう朝ドラを観たかった>。視聴者のあいだからは、そんな声が続出していたようだ。