旅客機のパイロットになりたいという舞の夢がついに前進! それを後押ししたのは前回に少しだけ登場した人物だったという。
11月17日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第34回では、ヒロインの岩倉舞(福原遥)が両親を説得し、航空学校に進学して旅客機のパイロットを目指すという夢を認めてもらうシーンが描かれた。
長崎・五島列島にある祖母・祥子(高畑淳子)の家を訪れていた舞。そこに母親のめぐみ(永作博美)と父親の浩太(高橋克典)が迎えに来て、舞はあらためて両親に、大学を辞めて航空学校に行きたい想いを伝えていた。
パイロットは人の命を預かる責任の重い仕事であるうえ、まだ女性の機長は日本に誕生しておらず、舞が男社会で自分の道を切り開いていくタイプではないと心配する母・めぐみ。しかし、涙ながらに自分の想いを訴える舞の姿にめぐみはついに「分かった。舞がそこまで考えてんねんやったら。やってみ」と認めたのだった。
「めぐみが舞の夢を認めた背景には、自分自身も二十歳の時、大学を中退して駆け落ち同然に大阪に行き、浩太と結婚して町工場のおかみさんになったという過去がありました。その時に母親の祥子に猛反対されていたことから、自分が母親と同じことを娘に対して繰り返しているという葛藤もあったのかもしれません」(女性誌ライター)
そんな感動のシーンに、<これまでで一番泣いた><祥子さんとめぐみさんの対比が素晴らしい>といった声が続出。祖母と母、母と娘という二代にわたる親子の相克が、見事に結実した物語には、多くの視聴者が惹きつけられていたようだ。
しかもこの場面に、意外な人物が大きな貢献を果たしていたというのである。それは舞と11年ぶりの再会を果たした同級生の浦一太(若林元太)だというのだ。しかし一太はパイロットになりたいという舞の夢を知らないはずだが…。
「舞とめぐみの会話で重要なターニングポイントとなったのは、舞が両親について『お父ちゃんには夢があって、お母ちゃんがそれを支えてるって知ってから、しんどそうに見えたことないで』と語ったことでしょう。舞がその話を持ち出したのは、祖母の祥子から若かりしのめぐみが駆け落ち同然に浩太と結婚したいきさつを聞いたからに違いありません。そのいきさつを知るきっかけが、実は一太だったのです」(前出・女性誌ライター)
めぐみが浩太と結婚した際に、祥子が猛反対していた事情は、祥子宅を訪れた船大工の木戸豪(哀川翔)から教えてもらったもの。つまり木戸が来なかったら、舞は両親が結婚に至った経緯を知ることはなかった。
それではなぜ、木戸がそのタイミングで祥子宅を訪れたのか。それは木戸と親しい一太から、舞が婚約者を連れて島に戻ってきたと聞いたからだ。木戸は立派な鯛を手に「お祝いば持ってきた。舞ちゃんが婚約者ば連れてきたっち」と語っていたのである。
「一太は舞の幼馴染である梅津貴司(赤楚衛二)を婚約者だと勘違い。その勘違いがなければお祝いの鯛を持ってくることもなく、木戸から『祥子さんに反対されてな。そんまま二人で大阪いって、それっきりやったとさ』と、両親が結婚した時の経緯を聞くこともなかったでしょう。その話を受けて舞は祥子に、『お母ちゃんが結婚する時、反対したん?』と訊ねていたのです」(前出・女性誌ライター)
今回の第34回では最後、祥子がめぐみに「あんとき、めぐみの話ばちゃんと聞いてやればよかった。すまんかったねえ」と謝る場面がひとつのクライマックスとなり、視聴者の涙を誘っていた。その感動シーンを導いたのが、小3の時に舞と親しくしていた同級生の一太だったのである。
そして舞が一太と知り合えたのは、11年前にめぐみが浩太の説得を受け、音信不通だった祖母の祥子を頼りに五島へ向かったから。もはや「伏線回収」という言葉で片づけるわけにはいかないほど、すべての物語は必然的につながっているようだ。