【舞いあがれ!】久留美の父親みたいになる恐れも?横山裕=悠人の行く末に心配集まる!

 三家族それぞれの苦悩が描かれたいま、視聴者は心配を募らせているようだ。

 11月18日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第35回では、望月久留美(山下美月)の家庭事情が明かされることに。父親の佳晴(松尾諭)は元ラグビー選手で、かつてはドーベルマンとあだ名された名フランカーだった。

 だが怪我で引退を余儀なくされ、勤めていた会社も辞めた佳晴。妻の久子(小牧芽美)は看護師として働きながら献身的に尽くしていたものの、だらしないままの生活を送る佳晴の姿に「私がいてたら、この人このままあかんようになる」と思っていたようだ。

 そんな久子がついに「しばらく実家に帰る」と告げた時、佳晴はなんと「せえせえするわ。お前と一緒になれへんかったら、俺もっとマシな人間やった」と吐き捨てる有様。久子は一人娘の久留美を福岡に連れて行こうとするも、自分が残れば母親も戻ってきてくれると幼心に考えた久留美は「行けへん! 私はお父ちゃんとおる!」と、東大阪に残る道を選んでいたことが明かされた。

「ふて寝する父親の背中にすがりついた久留美。しかし母親が去ってしまうと、実は久留美が泣いていなかったことが明かされました。おそらく彼女は母親を引き留めるために演技をしていたのでしょう。ここで久留美が涙一つ見せていなかった演出には、子どもは子どもなりにドライに考えているという現実が、ビビッドに示されていたのではないでしょうか」(テレビ誌ライター)

 久留美が看護学生になった今でも相変わらず仕事が長続きせず、しまいには「結婚でもなんでもしたらええがな」と突き放していた佳晴。望月家の複雑な家庭環境は、このどうしようもない父親に原因があることを如実に示していたのである。

就職情報誌に赤丸を付けていた佳晴。久留美もダメな父親には呆れ顔だ。トップ画像ともに©NHK

 そんな望月家に対し、お好み焼き店を営む梅津家はどうなのか。息子の貴司は高校を出て就職するも、営業成績は最低。会社に馴染むことができず、心の拠り所としていた古書店のデラシネも閉店したことでついに、緊張の糸が切れてしまっていた。誰にも言わずに会社を退職し、ひとり長崎・五島列島に旅立っていたのである。

 そんな貴司も佳晴と同様に、家族に迷惑を掛けながら生きていくのか。だが貴司には心から信頼できる幼馴染がいた。久留美とヒロインの岩倉舞(福原遥)は、貴司を探しに五島に向かうことに。そこで貴司の気持ちを受け止め、彼の想いを吐き出した短歌を心から褒めたのだった。

「第35回では貴司がついに家に戻ることに。母親の雪乃(くわばたりえ)は『このドアホ! どんだけ心配して思てんねや』と言いながら貴司の頭をなんべんもはたいていましたが、その手に愛情がこもっていたことは誰の目にも明らかだったことでしょう。そして父親の勝(山口智充)は、旅をしながら働いて自分の場所を見つけたいという貴司のことを『分からんけどな』と言いつつも、『お前がそう言うんやったら、やったらええ』と後押ししたのです」(前出・テレビ誌ライター)

 信頼できる幼馴染と両親に愛されている貴司は、自分を普通ではないと自覚しつつも、なんとか自分の行き先を見つけることができたようだ。

 このように第35回では望月家と梅津家の両方で、人生に絶望している男たちの現状が描かれた。妻と娘を突き放すことで、最後の優しさを示そうとしている佳晴。そして周りからの理解を受けて、自分を取り戻そうとしている貴司。そんな二人の物語に視聴者が目を奪われるなか、もう一人の「先行きの不透明な男」の行く末にもまた、視聴者が心配を募らせているというのである。

「それは舞の兄で東大生の悠人(横山裕)です。学生時代から株式投資を始め、すでに2000万円を稼ぎ出している悠人。大手電機メーカー・IMORI電機への就職も内定しており、今後の生活はバラ色にも見えます。しかし3年経ったら会社を辞めて独立し、投資家になると宣言する姿には心配しかありません。なにしろ視聴者は今後、悠人が投資で大やけどしてしまう可能性を知っていますからね」(前出・テレビ誌ライター)

 物語は2005年3月まで進んでおり、間もなく悠人は社会人になるところ。会社員と並行して株式投資も続けるつもりだろう。しかし悠人が独立を予定している3年後、全世界を揺るがせたリーマンショックが発生。世界的に株価が暴落し、日米の株式市場はほぼ半値にまで下がっていたのである。

 指一本で億を稼ぎ出す生活を夢見ている悠人。ドットコムバブルなど株価の上昇局面では彼の目論見も上手くいく可能性が高いだろう。しかしリーマンショックの影響はあまりにも大きく、彼の資産がアッという前になくなってしまう恐れすらあるのだ。

「この『舞いあがれ!』では三家族それぞれの家族模様を描いており、物語に重厚感を与えています。望月家と梅津家の“ダメ男”が描かれたことから、次は岩倉家の順番になりそうなもの。ここまで悠人の出番はさほど多くありませんでしたが、もしかしたら次は彼が堕ちていく過程がテーマになる可能性もありそうです」(前出・テレビ誌ライター)

 果たして3年後のリーマンショックは描かれるのか。それ以前に悠人はIMORI電機での会社員生活に馴染むことができるのか。朝ドラに限らずホームドラマでは、主人公が家族に足を引っ張られるエピソードが珍しくないもの。航空学校で念願のパイロットを目指す舞にとって、悠人の存在が足かせにならないことを視聴者も祈るばかりだろう。