NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」が大変なことになっている。11月21日の第36回から「航空学校編」に突入した同作では、旅客機のパイロットを目指すヒロインの岩倉舞(福原遥)が航空学校で奮闘する姿が描かれることに。ところが前週までとは物語のスタイルが大きく変わり、舞は落ちこぼれかつ感情的なキャラに変遷。その理由として視聴者から指摘されているのが脚本家の交代だ。
第1回~35回は桑原亮子氏が脚本を担当し、繊細な人物描写や巧みなセリフ回しに視聴者が感動。涙を誘われる場面も多く、高い評価を得ていた。それが第36回で嶋田うれ葉氏に交代した途端、ヒロインのキャラも行動も大きく変化。ドタバタ活劇要素が急に増えたのである。
「嶋田氏は2020年度上期の朝ドラ『エール』に共同脚本の一人として参加。第1回では物語が紀元前1万年から始まり、主演の窪田正孝とヒロインの二階堂ふみが古代人の格好で登場するという異色の演出が物議を醸しました。その回に嶋田氏が絡んでいたかどうかは明らかではないものの、視聴者が警戒心を抱くのも無理はなさそうです」(テレビ誌ライター)
ツイッターでは「#舞いあがれ反省会」のタグを付けたツイートが激増し、脚本家交代への批判が続出。桑原氏に戻るまでは離脱すると宣言する視聴者も少なくない。
そんななか、舞の父親・浩太を演じる高橋克典が11月22日にブログを投稿。どうやら前日に放送された第36回に対して批判が殺到していることを受けて、演者として言いたいことがあったようだ。
その投稿で高橋は「脚本に疑問も不安もあるはずなく、そこからどう膨らませて、どう掘り下げて、どう切り取って作りあげるかは、それぞれのコラボから生まれてくるもの」と断言。嶋田氏の脚本に全幅の信頼を置いていることを明かしている。
だがそのブログでは別の個所に、気になる文章があったという。それこそが高橋が視聴者に伝えたい真意なのではと裏読みする向きも少なくないというのだ。
「高橋は『これは長尺のエンターテイメント』と指摘し、同じ空気が続いたら飽きてしまうと説明。『新しいことに挑戦したり、現場は現場で身を切りながら勝負してる』と綴っています。どうやら演者として制作陣を信頼し、スタッフと演者が一丸となって作品作りしている姿勢を示しているのでしょう。ただ気になるのは同じブログにて『このタイミングで脚本家の方と監督が変わり、今週からは少し毛色が変わります』と、脚本のみならず監督も交代したことを明かしていることです」(前出・テレビ誌ライター)
本作のスタッフクレジットに「監督」という職種はなく、高橋の言う監督は「制作統括」や「演出」を意味しているのだろうか。ただ「制作統括」は全話を通して熊野律時氏と管原浩氏の連名となっている。
一方で演出は第7週の田中正氏から、第8週では野田雄介氏に交代。だからといって野田氏を戦犯扱いするのは見当違いだ。というのも本作の演出は輪番制になっており、野田氏は“子舞”こと子役の浅田芭路がヒロインの舞を演じた第2週「ばらもん凧(だこ)、あがれ!」でも演出を担当。その週が毎回のように“神回”と称賛されていたことは、視聴者もしっかりと覚えているはずではないか。
「そうなると結局のところ、第8週で作風が大きく変わった原因は脚本家の変更にあるのか、もしくは制作陣の《新しいことに挑戦》する姿勢が空回りしているのかもしれません。ともあれ高橋のブログからは、演者も含めて現場には、良い物を作りたいとの熱気があふれているであろうことが伝わってきます」(前出・テレビ誌ライター)
果たして航空学校編のドタバタぶりはいつまで続くのか。舞台は今後、フライト課程を学ぶ北海道の帯広分校へと移っていくが、その時には「試される大地」という北海道のキャッチフレーズさながらに、この「舞いあがれ!」も試されていくのかもしれない。