お笑いコンビ「Aマッソ」の加納が11月23日、初の小説集となる「これはちゃうか」(河出書房新社)のサイン&お渡し会を開催。それに先立って行われた記者会見で、芸人としての心意気を示してみした。
芸人としては苗字のみの「加納」を名乗りつつ、小説やエッセイではフルネームの「加納愛子」を筆名としている彼女。記者会見では加納愛子として記者からの質問に受け答えしつつも、時折、加納としての顔を見せる場面もあった。
記者からM-1グランプリに関する質問が出ると、「やめてやめて! 落ちたのよ、落ちたから。すいません」と慌てた加納。1週間前の11月17日には準決勝進出の27組が発表され、そこにAマッソの名前はなかったからだ。
ここでM-1と直木賞のどっちが欲しいかとの質問が飛ぶと、「すっごいこと訊くやん。どっちも欲しいですよ」とのこと。どちらかと言えばと記者が食い下がると、「M-1、M-1。全然M-1」と即答したのだった。
「お笑い業界では2015年に又吉直樹が『火花』で第153回芥川賞を受賞しており、これが重要なベンチマークとなるはず。しかし彼女が文芸賞へのこだわりを見せず、あくまでM-1グランプリにこだわった姿は決して強がりでもなんでもなく、芸人としての本心と心意気を世間に対して示す形となりました」(芸能ライター)
そんな芸人らしさは、結婚に関する質問への答えにもにじみ出ていた。同日には極楽とんぼの山本圭壱と元AKB48・西野未姫との結婚が公表され、大きな話題に。同じ芸人である加納に対して記者からは、書名にちなんで「これはちゃうかとは思わなかったですか?」との質問だ。
ここで加納は「みんなが思ってるならそうなんちゃう? あたしは何も言わないですけど、(みんなが)思ってるなら」と回答。二人の結婚についてどう思っているかを訊かれると「文字になるよね?(笑)」と前置きしつつ、「なんも思わないっすね。なんも思わんかな。びっくりはしましたね」と答えていたのである。
「この回答には、昨年10月に加納の結婚が週刊誌にスクープされた際、相方の村上が口にした言葉を思い出した人もいるはず。記者が村上に対して、加納の結婚を知ってどう思ったのかを訊ねた時、村上は『どうも思わないです~』と答えていました。そのやり取りのオマージュだったように思えるのです」(加納の記者会見に参加したライター)
当意即妙なやり取りを繰り出していた加納だが、会見では一カ所、意外な回答を口にする場面もあった。著書の装幀では椅子のイラストが用いられており、座面には「これはちゃうか」という表情をした、うさぎにも子熊にも見えるキャラが描かれている。
今回の小説集発刊に際しては、そのイラストを使った記念のオリジナルグッズも発売。ロングスリーブTシャツとアクリルキーホルダーが用意されており、記者会見では加納自らそのTシャツを着こみ、アピールする場面があった。
「記者から椅子に描かれたキャラの名前を問われた加納は『ちゃうかちゃん』とベタすぎる名前を口にしては、『ごめんなさい。適当にしゃべってます』と苦笑いしていました。以前の尖りまくっていたころとは違い、今回の会見でも笑顔を絶やさなかった加納。苦笑いで『ごめんなさい』と言う姿には、ベタなネーミングも許されるチャーミングさが発揮されていましたね」(前出・ライター)
2年前に著した初エッセイ集の「イルカも泳ぐわい。」は、アマゾンで4.5の高評価を受けている。本作「これはちゃうか」にはどんな反響が寄せられるのか。今後の作家生活にも期待の高まるところだろう。
(取材協力:はせいあい/撮影:Issey Nakanishi)