【舞いあがれ!】悠人の仕事を「寂しい」と断定…朝ドラが投資業をディスっていた!

 なぜ彼の仕事をディスっているのか、理解できない視聴者も少なくなかったことだろう。

 12月8日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第49回では、ヘッジファンドを手掛ける岩倉悠人(横山裕)に対し、母親のめぐみ(永作博美)が小言を言う場面があった。そこでめぐみの発した言葉に、いわれのない職業差別が浮き彫りになっていたという。

 悠人は東大を卒業後、大手電機メーカーに勤めるも、退職して投資家に転身。大学時代にはすでに株式投資で2000万円を稼いでおり、現在は資産家への投資助言業務を柱としているようだ。

 大阪で企業調査をしていた悠人は東大阪市にある実家の前まで足を運ぶも、家には入らず隣の「お好み焼 うめづ」に入店。うめづの女将(くわばたりえ)が岩倉家に電話し、めぐみが店に入って来たのだった。

「悠人に会うなり『なんやの、ため息なんてついて』と不満げなめぐみ。親としては電話には出ない、大阪に戻ってきても連絡一つ入れない息子に対して怒るのも無理はないでしょう。ただ、息子の仕事について『お父ちゃんも心配してんねんでぇ』と口を出したのは、悠人としても納得できないのは当然ではないでしょうか」(週刊誌記者)

 岩倉家では銀行から3億円を借り入れ、新しい工場を建設中。それを悠人から「ようやるわ」と突っ込まれると、めぐみは「工場のことは関係あれへん」と突っぱねていた。この態度は、親は子供の仕事に口を出すが、子供は親の仕事に口を出すなと言っているのも同然だろう。これでは悠人が不満に思うのも当然だ。

 しかもめぐみは悠人に対し「寂しないの?」と問いかけることに。悠人が「は? 何言うてんねん」と反発すると、大きな仕事をするのはいいと前置きしつつもめぐみは「でもその仕事の先に、悠人がほんまに手に入れたいもの、あんの?」と問いかけたのであった。

「この言葉には驚かされましたね。悠人の仕事を理解できないのはしょうがないとは言え、まるで目標も先行きもないかのように断じるのは、単なる職業差別でしょう。めぐみは続けて『いまの悠人は幸せにやってるように見えへん』とさえ主張していましたが、ろくに連絡さえ取れていない息子に対して、自分の思い込みを断定調にぶつける姿は、正直なところ見苦しいほどです」(前出・週刊誌記者)

めぐみからの詰問にいら立ちを隠せない悠人。トップ画像ともに©NHK

 娘でヒロインの舞(福原遥)が旅客機のパイロットを目指して航空学校で学んでいることには理解を示し、後押ししているめぐみ。それが悠人に対しては「寂しそう」と決めつけ、幸せには見えないと断じている。そこには何ら合理的な根拠はなく、単にパイロットという仕事は理解できても、ヘッジファンドは理解できないというだけではないだろうか。

 そんなめぐみに対して悠人は「小さい工場で金に苦しんでいるあんたらとはちゃうねん!」と激高し、1万円札をテーブルに叩きつけて、店を後にしていた。彼がそんな態度に出たのは、過去の放送を観れば当然だというのだ。

「悠人が私立中の受験を控えていた小6のころ、岩倉家が営むねじ工場が苦境に陥り、私立中への進学を断念する瀬戸際に追い込まれたことがありました。結果的にその苦境は回避できたものの、ひとつ間違えば悠人は東大受験という夢を断念させられたかもしれなかったのです。そのように金に困った過去を棚に上げて、ねじ工場を続けている母親から『あんたの仕事は寂しそうだし夢もない』みたいなことを言われたら、ふざけんなという気持ちになるのも当然でしょう」(前出・週刊誌記者)

 朝ドラの視聴者には「F3層」(50歳以上の女性)が多く、悠人が手掛けるヘッジファンドはたしかに、訳のわからない仕事に見えるのかもしれない。だが本作が主題としているパイロットという仕事にしても、舞の訓練課程では「JA01TC first solo report base」といった英語による指示が飛び交っており、視聴者としても置いてきぼりの気分を味わっているのではないだろうか。

 片や英語の交信は「夢のある仕事」として扱い、悠人のヘッジファンドは「寂しい仕事」として扱う。そんな偏った価値観が露呈する様に、疑問と反発を覚える視聴者も少なくないようだ。