【舞いあがれ!】柏木の登場に視聴者の不満続出も、真の「倉庫入り」確実の演出が!

 どうやら本当の「倉庫入り」が近づいているようだ。

 12月21日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第58回では、ヒロイン岩倉舞(福原遥)のもとに、恋人の柏木(目黒蓮)から国際電話が掛かってきた。その柏木に、物語から退場する気配がひしひしと感じられたという。

 航空学校を2008年12月に卒業した舞は、福岡を本拠地とするハカタエアラインに就職が内定するも、リーマンショックの影響で入社が1年延期されることに。一方で柏木は会社名こそ明かされていないものの、国際線を手掛ける大手航空会社の内定をもらった様子だ。

 現実世界ではこの時期、リーマンショックの直撃を受けた日本航空の業績が悪化。パイロット候補生として採用された新入社員たちは養成課程が中止となり、他の職種に回されていた。2010年の経営破綻を経て、業績が回復したあとには養成課程が復活したものの、柏木の性格ではとても地上職が務まりそうにないことだろう。

 柏木は4月に入社するまでのあいだ、米サンフランシスコに語学留学。国際線のパイロットを目指すとあって意識の高さを示している。そんな柏木を巡って今回、彼の不安な将来を暗示する演出が見受けられたというのである。

「祖母の祥子(高畑淳子)が住む長崎・五島に滞在している舞は、日々、フライトのイメージトレーニングを重ねることに。それに加えてCRM(クルー・リソース・マネジメント)の教本も読み込んでいました。その教本にて、まるで柏木のことを言い表しているかのような記述がクローズアップされていたのです」(飛行機に詳しいトラベルライター)

 舞が読んでいたのは「チームビルディング」の項目で、【業務の主体的遂行(Leadership)】、【チーム活動に適した雰囲気・環境作り(climate)】、そして【意見の相違の解決(Conflict Resolution)】の3要素で構成されている。

 チーム活動に適した雰囲気・環境作りに関しては、「他の乗員を信頼していることを示し、信頼を得るようにすること」という指針が明記。意見の相違の解決では「意見の相違を感情の対立に発展させないこと」というものや「『誰が正しいか』ではなく『何が正しいか』を念頭に、集めた情報を分析すること」といった指針が記載されていた。

「これらの指針はまるで、柏木が抱える課題そのもの。航空エリートの家庭に生まれ、学生時代に乗馬を嗜むというハイソな育ちの柏木には、他人を見下す傾向が顕著です。航空学校編では独りよがりで他者には関心のない性格がありありと描かれており、徐々に同期生たちとの絆は深まっていったものの、自分勝手な性格は卒業後もなお、変わらないままでした」(前出・トラベルライター)

航空学校の面接試験ではあからさまに舞を見下していた柏木。トップ画像ともに©NHK

 なにしろ舞と交際中にも関わらず、舞から掛かってきた電話を何日も放っておくのが柏木の流儀。そもそも語学留学にしても恋人の舞には事前の相談が一切なく、アメリカ行きを決めてから打ち明けるという始末だ。

 そういった態度は、CRMで求められる「他の乗員を信頼していることを示し、信頼を得るようにすること」という指針に反していることは明らか。しかもそういった性格は、なかなか変えるとができないというのである。

「航空会社では1990年代からCRMの講習を取り入れています。その講習では70%までは指導でなんとかできるものの、残り30%は受講者自身の意識が変わらないと達成できないのだとか。柏木は航空学校での授業を通して70%はクリアできたかもしれませんが、この調子だと残り30%を身につけることは相当困難でしょう」(前出・トラベルライター)

 恋人の舞とさえまともにコミュニケーションを取れない柏木が、どうして乗員同士の信頼を得ることができようか。入社後に地上職に回され、顧客対応の必要な部署にでも配属されたら、あっという間に馬脚を現すのは確実だろう。

 この調子では、舞がハカタエアラインに入社する2010年4月の時点で柏木は、せっかく夢を抱いて入社した航空会社を辞めている可能性も小さくなさそうだ。