【紅白歌合戦】ウタをあえて後半のトップに据えたNHKの狙いとは?

 これは期待してもいいのかもしれない。

 大みそかに放送される「第73回NHK紅白歌合戦」の曲順が発表。後半のトップバッターは「新時代」を歌うウタが務めることになった。

 ウタとは、アニメ映画「ONE PIECE FILM RED」に登場する世界で最も愛されている歌手のこと。その歌唱パートはAdoが担当しており、実質的にはAdoが後半最初の歌手となる。

 一方で12月28日に放送された「発表!今年イチバン聴いた歌~年間ミュージックアワード2022~」(日本テレビ系)では、ウタが20時台に登場。紅白で言えば前半に相当する時間帯だ。

 他の顔ぶれを見ると緑黄色社会やSEKAI NO OWARI、LE SSERAFIMといった若者から高い支持を受けるアーティストは両番組ともに前半に出場。そのなかでウタだけが紅白では後半を任されることとなった。そこにはNHKならではの思惑が見え隠れするというのだ。

「アニメキャラが紅白に出場するのは初めてですが、NHK側としては単にAdoがアニメキャラにアテレコするだけの形には終わらせたくないはず。今回のウタ出演に際しては紅白用の特別映像があるそうですし、相当に大掛かりな仕掛けを用意しているのは確実。その準備に時間をかけるためにも、後半のトップである必要があるのではないでしょうか」(アニメに詳しいライター)

この華やかな世界観が紅白の現場で再現されるのか。

 2次元キャラによるコンサートと言えば、初音ミクを思い起こす人も多いだろう。ステージに巨大なホログラムセットが設置され、そこに浮かび上がる初音ミクが、生バンドと一緒に楽曲をパフォーマンスする姿は観る者の度肝を抜いたものだ。

 2011年には米ロサンゼルスで初の海外公演にも挑んでいた初音ミクだが、なにしろ11年も前の話であり、映像技術はそのあいだに大きく進歩。今回のウタに関しては、当時の水準からは思いもよらないような演出も期待できるのではないだろうか。

「受信料問題とかでなにかと世間から責められがちなNHKですが、ハイビジョンや8Kなど様々な新技術を開発してきた技術者集団の一面も持っています。その成果を今回の紅白で披露することにより、少しでも世間からの期待に応えたいという想いがあっても不思議ではありません。史上初となるアニメ歌手出場を単なる話題性に終わらせず、のちの世代に語り継がれるような“新時代”の演出を期待したいですね」(前出・ライター)

 果たしてウタのステージは、観る者が新時代を実感できるような未来感にあふれるのか。「世界中全部 変えてしまえば♪」という歌詞を体感できるような演出を、ぜひ観てみたいところだろう。