【舞いあがれ!】舞は柏木とパイロットをあきらめて会社を継ぐ?「飛行機の音」が意味するものとは

 その音は、舞の心を反映していたのかもしれない。

 1月10日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第68回では、ヒロインの岩倉舞(福原遥)が交際相手である柏木(目黒蓮)の言葉に、ショックを受けたであろう姿が描かれた。

 父親の浩太(高橋克典)が急逝し、実家の町工場である株式会社IWAKURAも存亡の危機に。母親のめぐみ(永作博美)が社長代行を務めるも、ついには会社を畳むという決断に至っていた。

 そんななか、遠距離恋愛中の柏木に電話した舞。自分の不安を打ち明けることで少しでも心を落ち着けたかったようだが、当の柏木からは「パイロットになって親孝行すればいい」という的外れの言葉が。舞は数秒間黙り込んでしまい、心の揺れ動きを表すかのようにドドドンというBGMが鳴り響いていた。さらには飛行機が飛んでいるときの「キーン」という音も聞こえてきたのである。

「本作では時折、飛行機の音が効果音として挿入されます。今回はこの場面のみならず、舞がめぐみの仕事を手伝う場面にも流れていました。その二カ所に飛行機の音が入ったことに、制作側の意図を推し量る視聴者もいるようです」(テレビ誌ライター)

 この「舞いあがれ!」は「空を見上げて飛ぶことをあきらめないヒロインの物語」という触れ込み。作中ではすでに航空学校を卒業して航空会社への内定も決めており、普通ならパイロットに向けて邁進していきそうなものだ。

 だが今回は、実家の会社を手伝う場面と、恋人からの言葉に不信感を抱いたであろう二つの場面で、飛行機の音が鳴り響くことに。これはすなわち「パイロットにはならない」という未来を暗示しているのではないだろうか。

「視聴者からは柏木の言葉に《がっかりした》《そうじゃないだろ》といった反応が続出。そもそもなぜ舞が柏木を付き合おうと決めたのかが分からないという声も多く、今回のエピソードは柏木と別れるフラグと受け止める向きも少なくありません。それに加えて、舞の気持ちが柏木だけでなく、パイロットになることからも離れていくように思えてならないのです」(前出・テレビ誌ライター)

柏木の無神経な発言は結果的に舞への後押しになっていたのかもしれない。トップ画像ともに©NHK

 舞がパイロットを諦めるかもしれない未来は、本作のスタート前からすでに示されていたという。ドラマ公式サイトの「ものがたり」というページには、「やがて新しい形で空への夢を見つけていきます」との一文が。これは彼女がパイロットとは違う形で、空への夢を切り開いていくという筋書きを示しているのではないだろうか。

 しかも生前の浩太は、パイロットになった舞の操縦する飛行機に、IWAKURAで作った部品を載せるという夢を抱いていた。その夢を継ぐのであれば、今度は舞が「飛行機の部品」を作る側に回ることになりそうだ。

 パイロットを諦めたからと言って、それは決して「空への夢」を諦めることにはならない。作中に鳴り響く飛行機の音は、舞のそんな心模様を表現しているのかもしれない。