【罠の戦争】黒幕は鴨井大臣以外にいるのか?考察派を悩ませる「ブレない物語作り」とは

 そう来たか! 意表を突かれた視聴者も多かったようだ。

 2月20日放送のドラマ「罠の戦争」(フジテレビ系)では、衆議院選挙に初当選した主人公の鷲津亨(草なぎ剛)が、息子を突き落とした犯人の真相へと迫ることに。犯行の隠ぺいを依頼したのは意外にも、自分の応援演説にも駆けつけてくれた鴨井大臣(片平なぎさ)であることが判明した。

 前回の放送では事件を捜査していた警察に圧力をかけたのが、民進党の鶴巻幹事長(岸部一徳)だったことが分かり、鶴巻の弱みを握ろうとする鷲津。その動きを察知した竜崎総理(高橋克典)は、事件の当日に幹事長が党本部に泊まり込んでいたとの情報を伝えた。鶴巻派を崩すための駒として鷲津を使いたい様子だ。

 竜崎総理の計らいで党本部内の監視カメラ映像を見ることができた鷲津は、鴨井大臣が鶴巻幹事長のもとを訪れる姿を発見。事件の黒幕だと確信し、鷲津は大臣に直接ねじ込んだのだった。

「鷲津の妻・可南子(井川遥)とも親しく接していたこともあり、鴨井大臣が黒幕だとは視聴者も意表を突かれたはず。巧みな筋書きに感心する一方で、物語はまだ第6話を終わったばかりです。鴨井大臣との対決で終了するとは思えず、まだ本当に本当の黒幕が残っているのではないかと、裏読みしたくなるところでしょう」(テレビ誌ライター)

 先の読めない展開には、いわゆる考察派の視聴者も驚かされているところ。鴨井大臣はシングルマザーも自らのアピールポイントとしているが、よもやその息子が実行犯なのか。それともさらなる謎が隠されているのだろうか。

 そんな推理を巡らせる考察派を悩ませているのが、本作ならではの真っ当でブレないドラマ作りだというのである。

「事件の真相を隠ぺいしたのはまず、鷲津が仕えていた犬飼大臣(本田直太朗)でした。次いで鶴崎幹事長が浮上し、第6話のラストで鴨井大臣へとたどり着くことに。この3人はいずれも物語の初期から登場しています。これが下手なドラマだと、途中から突如としてキーとなる人物が現れたりするのですが、本作では怪しい登場人物全員を最初から見せているのが特徴。それゆえ、今後の展開に誰がどう関わっていくのかがかえって見えづらくなっているのです」(前出・テレビ誌ライター)

 他の登場人物で黒幕の可能性が残っているのは竜崎総理、そしてかつては鷲津の秘書仲間だった副幹事長の鷹野(小澤征悦)くらいのものか。鶴崎派の鴨井大臣が、実は裏で総理と繋がっていた可能性はありそうだ。また鷹野は世襲議員なので、親の代から受け継いでいる秘密があるのかもしれない。

鷲津を「使える」と評価している竜崎総理。トップ画像ともに©フジテレビ

 ほかには鷲津にとって右腕的な存在である秘書の蛍原(小野花梨)や、それこそ妻の可南子にもまだ謎は残っていそうだが、さすがに黒幕になれるような権力とは無縁だろう。そうなると真の黒幕はやはり、政治家となるのか。

「本作は政治の世界を舞台にしているわりには登場人物がさほど多くなく、それぞれのキャラクターが深掘りされる形になりそう。ただ公式サイトでは各キャラの人物説明があっさりしており、視聴者は画面に映る情報だけをもとに推理を巡らせています。それはドラマを楽しむ姿勢としては王道と言えますが、そのぶん、考察派は推理のネタが少ないと頭を悩ませているのです」(前出・テレビ誌ライター)

 果たして事件を隠蔽した黒幕は誰なのか。そして突き落とし事件はなぜ発生したのか。視聴者は主人公の鷲津が何も見えない状況でもがいている姿を実感することができよう。次週の展開すら見えない骨太の物語には、さらに期待が高まるのではないだろうか。