決して今日になっていきなり飛び出してきたわけではないようだ。
3月17日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第116回では、ヒロイン梅津舞(福原遥)のもとに、浪花大学の先輩である刈谷(高杉真宙)から電話が入ることに。刈谷は同級生の玉本(細川岳)とともに、ドローンの開発会社を立ち上げていた。
次週予告では、二人の会社「ABIKILU」の倉庫にてドローンのテスト飛行を舞が見守っていた。彼らの目標は「空飛ぶクルマ」であり、どうやら物語の終盤に予定される「有人電動飛行機」に向けて、大きく話が転換してきそうだ。
その展開について視聴者のなかには、刈谷と玉本の登場が強引すぎるとの声もある。なにしろ飛行可能な大型ドローンの試作機が早くも完成していたからだが、このタイミングで大型ドローンが登場することについては、3月13日放送の第112回にてすでに伏線が張られていたというのである。
「第112回のオープニングには『資料提供 川上忠志』とのクレジットが記載されていました。これだけでは何の資料を提供したのか分かりませんが、その川上氏が代表を務めるグッドニューズ株式会社では、小型軽量マルチローターコプターの開発を手掛けているのです」(週刊誌記者)
次週予告では、クアッドタイプ(4カ所のローターで浮上)の大型ドローンが試験飛行を行っていた。その特徴は各ローターが2基のモーターで構成され、二重反転プロペラになっていること。この機体はグッドニューズ社で開発している「マルチローターコプター」そのものなのである。
同社では、CARTIVATOR(現・有志団体Dream On)で研究開発されていた「Flying Chair」(空飛ぶ椅子)を引き継ぎ、2020年に開発を再開。次週予告に登場するドローンはおそらく、開発中の機体だろう。
またCARTIVATORでは2020年、SkyDrive社との共同開発による「有人機SD-03」という機体にて、有人デモフライトを成功させている。つまり刈谷たちが作ろうとしている「空飛ぶクルマ」は決して朝ドラにおける夢物語ではなく、現実世界でも着々と開発が進められているというわけだ。
「この『舞いあがれ!』ではリアリティを重んじており、人力飛行機編では実際に飛行実績を持つ機体を使用して撮影。航空学校編では航空大学校の協力を得て、実機による撮影を行っていました。ヒロインの舞が企画会社の株式会社こんねくとを立ち上げてからは、ランプや指輪など実際に東大阪で開発された製品が登場。そして終盤の電動飛行機編では、すでに実績のある『空飛ぶクルマ』が登場するのは確実でしょう」(前出・週刊誌記者)
デモフライトとはいえ実際に空を飛ぶとなると、やはり空を飛んだ経験を持つ人物がパイロットを務めたほうが、リアリティを担保できるというもの。これぞまさに、航空学校で飛行機の操縦資格を取得した舞の出番ではないだろうか。どうやら航空学校編での経験が、役に立つ時がやってきたようだ。