3月23日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第120話では、歌人の梅津貴司(赤楚衛二)が妻の舞(福原遥)に「ちょっと話あるんやけど、ええかな?」と深刻そうな顔で相談。舞が驚いた場面で終わっていた。そんな舞が見せた驚きに、驚く視聴者が少なくないという。
貴司は2013年に短歌界の芥川賞と呼ばれる長山短歌賞を受賞。翌年、デビュー詩集「デラシネの日々」を上梓し、重版がかかるほどの人気を博していた。
2016年には二作目の歌集「連星」がデビュー作を超えるヒットに。同年には娘の歩も生まれ、歌人としても家庭人としても充実していたように見えた。だが私生活が安定すればするほど、歌人としての貴司は停滞してしまっていたようだ。
新作の短歌を詠めていない貴司は、担当編集者のリュー北条(川島潤哉)に「すいません」と頭を下げていた。北条は「梅津先生は苦しんでこそ、いい歌を詠む人だ」とフォローしていたが、どうやら貴司のスランプは相当深刻な状態らしい。
「その一方で妻の舞は、自ら経営する企画会社の『こんねくと』が軌道に乗り、2018年からは大学時代の先輩が手掛ける『空飛ぶクルマ』の開発にも参画。家事や育児を貴司と分担しながら、東大阪の活性化という自分の目標に向けて邁進しています。会社経営者としては順調ですが、夫の不調には気づいていない様子です」(テレビ誌ライター)
思えば舞は大学時代から、自分のやりたいことに突っ走っては周りを翻弄してきた。大学を辞めて航空学校を受験したり、航空会社の内定を辞退して家業の町工場に入社するなど、その突飛な行動は家族を驚かせていたものだ。結婚後には町工場を辞めて企画会社のこんねくとを立ち上げていたが、夫の貴司は幼馴染の時から、そんな舞を見守り続けてきた。
だが舞のほうは、貴司のことをどれほど見守っているのだろうか。夫のスランプにさえ気づかないその身勝手さは、わがままヒロインとして悪名高かった前作「ちむどんどん」の比嘉暢子さえも上回るというのである。
暢子も自分の思いで回りを振り回すタイプ。イタリア料理店から独立する際には沖縄料理店を立ち上げ、軌道に乗ったかと思ったら実家の沖縄・やんばるに戻るなど、常に周りを翻弄していたものだ。
ただ暢子の場合、沖縄に戻ること自体は元新聞記者で夫の和彦にとっても好都合だった。和彦は沖縄に関する本を書きたいとの夢を持っており、妻としてその思いを後押しした形になったからである。
「それに対して舞は、家事や育児をこなす貴司の厚意に甘えてばかり。新作の短歌を詠めずに苦しんでいる貴司を気遣う様子もなく、仕事面に関しては自分は自分、貴司は貴司といった感じです。対する暢子は、新聞社を辞めてフリーライターになった夫を支えるべく、料理店の店主として懸命に働いていました。夫が稼げないなら私が家計を守るとの決心を感じさせたものです」(前出・テレビ誌ライター)
そんな暢子がいたからこそ、和彦は沖縄に詳しい文筆家として活動することができた。一方で舞は、歌人としての貴司にはほとんど貢献できていないようだ。果たして貴司は幼馴染の舞を伴侶に選んだのが正解だったのか、視聴者も疑問を抱き始めているのではないだろうか。