【舞いあがれ!】菱崎重工の荒金がABIKILUに興味を持つのは「実話」に即したエピソードだった!

 3月28日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第123回では、空飛ぶクルマを開発する株式会社ABIKILUの倉庫兼事務所に、菱崎重工の荒金(鶴見辰吾)が訪問。開発中の機体を見て「私はねいま、年甲斐もなくワクワクしていますよ」と興奮を隠せない様子だ。

 3月24日に放送された次週予告では、荒金がABIKILUの制服を着る姿も映っていた。どうやら荒金は航空機開発の手腕を活かすべく、ABIKILUに入社するようだ。その展開をめぐり、一部から疑問の声があがっているという。

「荒金は菱崎重工の航空機器製造事業本部で事業本部長という要職を務める立場。作中の2020年にはすでに定年退職している可能性もありますが、立場的にいくらでも関係会社に転職できるはずです。そんな大物が航空機の開発に情熱を燃やすとはいえ、海のものとも山のものと分からないABIKILUに転職するものかと、疑う声は少なくありません」(週刊誌記者)

 ABIKILUには浪花大学の人力飛行機サークル「なにわバードマン」の出身者が多く、そのノリは大学生サークルさながら。投資家からの出資を受け、製作費3000万円の有人試作機を飛ばそうとしているものの、本物の飛行機を作っていた荒金が参画するほどのプロジェクトには見えないのも否めないところだろう。

 またABIKILUが製作した試作機に関しても、「ドローンをただデカくしたような代物で有人飛行とか、笑わせる」といった批判も散見されるようだ。だがそういった批判はまったくのお門違いだというではないか。

 というのも作中に登場する機体は、前週に試験飛行を繰り返していた無人機にせよ、今回の有人機にせよ、現実世界で開発された実績を持つ機体ばかりなのである。

「荒金が『想像以上の出来ですね!』と驚いたアビキュラ2号は、愛知県の株式会社SkyDriveが開発した試作機『SD-02』そのもの。実際に空を飛んだことがある機体なのです。そのSkyDrive社は空飛ぶクルマを開発しているスタートアップ企業で、作中と同じ2020年には荒金と同じような立場にある人物が入社していました」(前出・週刊誌記者)

 SkyDriveでは2020年4月、三菱航空機で副社長を務めていた岸信夫氏がCTO(最高技術責任者)に就任。岸氏は三菱重工出身で、まさに菱崎重工・荒金のモデルと言える人物だ。

 しかも岸氏は大阪府立大学工学部の出身。浪花大学のモデルとされる大学であり、ヒロインの舞(福原遥)やABIKILU代表の刈谷(高杉真宙)にとって先輩と言える存在なのである。

荒金が試作機に興奮する姿は現実世界の踏襲だったのかもしれない。トップ画像ともに©NHK

「この『舞いあがれ!』は東大阪の町工場を舞台としていることから、技術面での描写には相当神経を使っています。ねじの製作では東大阪の工場を借りて本物の工作機械を使って撮影していましたし、空飛ぶクルマに関しても実際に開発されていた機体を撮影に使用。リアリティを追求するために本物を使っており、荒金のABIKILU入社でも同じように現実を踏襲しているのです」(前出・週刊誌記者)

 SkyDrive社では2020年8月に公開有人飛行試験に成功している。おそらく「舞いあがれ!」でも同じような時期に試験飛行に成功するはずだ。しかもドラマでは未来を描くことも可能。パイロットの資格を持つ舞が実用的な小型電動飛行機を操り、長崎・五島の島々を結ぶ路線を飛ぶ姿にも、期待が高まるところだ。