それ、どこで入手したの? そんな疑問が沸き上がっていたようだ。
3月29日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第124回では、時代が2020年4月を迎え、物語の舞台である東大阪にも新型コロナ禍が襲来。空飛ぶクルマを開発している株式会社ABIKILUでも、全員がマスクを装着しての対策を進めていた。
ABIKILU代表の刈谷(高杉真宙)はコロナ禍であっても開発を止めたくない様子。もたもたしていると海外勢に追い抜かれてしまうと主張だ。だが創業仲間の玉本(細川岳)は、家族に感染したら大変なことになると主張し、これには刈谷も説き伏せられていた。
「刈谷の心配も分かりますが、そもそもコロナ禍は世界中に広がっており、ヨーロッパではパリのようにロックダウン(都市封鎖)したところも。その状況で海外勢との競争を懸念するのは無意味というものです。一方でABIKILUでは開発を続けていましたが、その場面に疑問を抱かずにはいられませんでした」(週刊誌記者)
それはナレーションが「舞ちゃんの提案で、ABIKILUに徹底した感染対策が施されました」と説明していた場面だ。事務所の扉は開放され、空気の入れ替えはバッチリ。出社したスタッフは全員が無接触型の体温計で体温測定をし、ノートに自分の体温を記入。アルコールで両手の消毒も行っていた。
刈谷は「ここまでやったら安心やな」と舞に礼を述べていたが、機体の整備ではスタッフが何人も一か所に集中。これでは厚生労働省が要請していた2メートル(最低でも1メートル)の間隔が守られていないのは明らかだ。
「さらに疑問なのは、2020年4月の時点では体温計やマスク、アルコールが超品薄だったのに、ABIKILUにはすべてが完備されていたことです。舞の実家である部品工場のIWAKURAなら業務にも使うであろうマスクを多めに在庫していた可能性があるものの、さすがに体温計やアルコールの在庫はなさそう。日本中であらゆる人々が体温計とアルコールを探し回るなか、『舞ちゃんの提案』が簡単に実現する光景には違和感しかなかったですね」(前出・週刊誌記者)
せめて舞が、東大阪の町工場ネットワークを駆使してアルコールを探し回るような描写でもあれば、リアリティを担保できたはず。一体彼女はどこからアルコールを調達してきたのか。
もっとも本作での舞は、欲しいものは願えばすべて手に入るという全能感にあふれたキャラとして描かれている。彼女にとっては品薄のアルコールなどを入手するのも、実にたやすいことだったのかもしれない、