もっと波瑠を前面に出すべき?「ナイト・ドクター」が最低視聴率を更新

 これが青春群像劇の限界なのか。8月30日に放送された月9ドラマ「ナイト・ドクター」(フジテレビ系)の第9話が、前週から0.4ポイントダウンの9.1%に下落。初の二ケタ割れとなった前週に引き続き、シリーズ最低視聴率を更新することとなった。

 今回は主役で救命医の朝倉美月(波瑠)ではなく、同じ救急救命センターに勤める後輩医師の深澤新(岸優太)が物語の中心に。深澤の妹・心美は持病を抱えており、兄の病院に入院中。前回にはデイキャンプに出掛けられるほど元気になっていたが、今回は心美の体調が急変し、緊急手術で窮地を脱することとなった。

 回復した心美は兄にドナーカード(臓器提供意思表示カード)への署名を頼むも、妹の身を案じる深澤は拒否。この件に端を発して、亡くなった母親がドナー提供者となっていた美月や、心臓移植を受けたレシピエントである同僚医師の桜庭(北村匠海)らとギクシャクしていく様子が描かれていた。

「今回のエピソードではナイト・ドクターそれぞれの事情が交錯し、番組が標榜する“青春群像医療ドラマ”をしっかりと見せつけてくれました。しかし視聴率はシリーズ最低に終わり、数字が伴わない結果に。同じ救急医療ものでライバルドラマの『TOKYO MER』(TBS系)は前日放送の第9話でシリーズ最高タイの15.0%をマークしており、大きく水を開けられた形です。こちらは向こう見ずな主人公の喜多見幸太(鈴木亮平)が、二酸化炭素の充満した外国大使館の地下駐車場で懸命の救命活動を行うという迫真のシーンに挑み、いつも通りの満足感を視聴者に与えることに成功していました」(テレビ誌ライター)

「ナイト・ドクター」では仲間同士で食事を楽しむ場面が多く登場する。「ナイト・ドクター」公式インスタグラム(@nd_fujitv)より。

 常に主人公の喜多見が超人的な活躍を見せる「TOKYO MER」に対し、「ナイト・ドクター」では主役であるはずの朝倉(波瑠)が回によっては脇役に回ることも。ドナー登録がテーマとなった今回の第9話でも、亡くなった母親がドナーとなったという関わりは見せていたものの、物語はあくまで深澤と桜庭の二人を中心に展開していた。

「視聴者のあいだにはもっと、朝倉の活躍や苦悩を見たいという声も少なくありません。しかも『TOKYO MER』との対比は避けられず、両ドラマが陰と陽、静と動の関係となっており、『ナイト・ドクター』がどうしても陰や静に見えてしまうのも致し方のないところ。ただ『ナイト・ドクター』はすでに全話を収録済みで、内容の修正が効かないため、朝倉の活躍を求める視聴者の声が届かない可能性が大きいのも現実なのです」(前出・テレビ誌ライター)

 第9話の最後では、すべての患者を受け入れたいという朝倉と、受け入れを断る上司の考えが衝突する次回予告が描かれていた。朝倉(波瑠)がメインの回なら数字は上向くのか。次週の第10話に注目が集まるところだろう。