これはもしや、故郷・岡山との繋がりを示しているのか。そんな予感を抱いた視聴者もいたようだ。
2月1日放送のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第64話では、昭和50年を舞台にるい(深津絵里)と錠一郎(オダギリジョー)の一人娘である大月ひなた(新津ちせ)を中心に物語が展開。父親に似てズボラなひなたは夏休みの宿題が終わっておらず、それまで皆勤だったラジオ体操も休んで宿題に忙殺される様子が描かれていた。
ここで視聴者の関心を集めているのが大月家のファッションだ。ひなたは昭和50年代の小学生女子にとって定番だった吊りスカートを着用。父親で元トランぺッターの錠一郎はサイケデリックなデザインのシャツに身をまとい、当時の流行だったヒッピー風の出で立ちとなっていた。
「そして注目すべきは母親るいのファッション。それまでは清楚なスカートかワンピースばかりをまとっていた彼女が、この日は冒頭からジーンズを履いていたのです。実は前回の第63話でもよく見るとジーンズを履いていたのですが、座っていたり夜のシーンだったりと服装が分かりづらかったことから、第64話を迎えて《ジーンズはいてる!》《これが1975年ということか》といった声が視聴者からあがっていました」(テレビ誌ライター)
当時はジーンズの国産化が進み、価格も下がったことで、幅広い層にジーンズが普及していった時代。作中のるいはまだ30歳の若さで、夫・錠一郎の影響もあって若者の流行りに乗っかっても不思議のない年ごろだ。
そんな世相を反映した場面だったが、るいがジーンズを着用していることには、別の意味も込められているとの見方も広がっているという。
「当時の国産ジーンズ二大ブランドであるビッグジョンとボブソンは、いずれも岡山県の企業。その岡山は学生服で8割のシェアを持っており、繊維業者や縫製業者が多数集まっています。そしてこの『カムカムエヴリバディ』では、るいの出身地がまさに岡山。戦争で亡くなった夫・雉真稔の実家は、稔の父親が一代で築き上げた雉真繊維だったのです」(前出・テレビ誌ライター)
足袋作りから始まった雉真繊維は業務を拡大し、学生服に進出。昨年12月後半からの「るい編」では作中に登場しなかったものの、昭和50年現在も会社が存続しているのであれば、ジーンズ作りに進出していても不思議はないはずだ。
一方で始まったばかりの「ひなた編」では、内容が昭和のホームドラマとなっており、それまでの安子編やるい編との繋がりがあまり見えなくなっている。ただ第64話では錠一郎が「友達に恵まれてるんやなぁ、ひなたは。それがどれだけ幸せなことか、僕らはよぅ知ってる」と自分たちの出自について語る場面もあった。
「そして今回、るいがジーンズを履いていたことで、物語が連綿と繋がっていることをあらためて意識するきっかけに。視聴者からは《ジーンズが雉真繊維製であってほしい》といった声も出ていますし、これを機に安子編からの伏線を回収する流れになることも期待されています」(前出・テレビ誌ライター)
るいの母親で、ひなたの祖母でもある安子は、るい編には回想シーンでしか登場しなかった。果たしてひなたは「おばあちゃん」に出会うことがあるのか。カムカムファンとしては大いに気になるところだろう。