【カムカムエヴリバディ】昭和58年はどれくらい昔なのか?平成生まれが知らないアイテムも登場!

 40代以上の視聴者なら「ああ懐かしい!」と思えたのではないだろうか。

 NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」では時代設定が昭和58年となり、ヒロインの大月ひなた(川栄李奈)は高校3年生に。上白石萌音がヒロインだった「安子編」や、現在も母親役で出演する深津絵里がヒロインだった「るい編」に比べると、ぐっと現代に近づいた様子だ。

 2月16日放送の第75話では、ひなたが条映太秦映画村にてアルバイトをすることに。大部屋俳優の伴虚無蔵(松重豊)に誘われ、撮影所の休憩所で待機することとなった。殺風景な休憩所にはテレビもなく、ラジオが唯一の情報源。そのラジオは古色蒼然とした真空管ラジオばかりが登場していた安子編やるい編からは一変し、今でも普通に使われていそうなAM・FM兼用のトランジスターラジオとなっていた。

「室内には自動販売機も置かれ、さすがに電子マネーは使えないものの、その仕組みは現在とほとんど変わりません。ひとつ大きく違うのはペットボトルのドリンクがなく、すべて缶入りだということ。日本で飲料用のペットボトルが法律で認められたのは昭和57年のことで、一般化したのは昭和60年代からなので、昭和58年当時の自動販売機では缶入りドリンクしか買えなかったのです」(週刊誌記者)

 ただ現在でも缶コーヒーは当たり前のように売られており、缶入りドリンクだけの自動販売機にもさほどの違和感はなさそうだ。その一方で、平成生まれの視聴者にとっては見たことがないであろうアイテムも、この第75話には登場していたというのである。

「休憩所には缶入りドリンクを手にした時代劇俳優の姿が。その缶をよく見てみると、ふたのところが妙にのっぺりとしているのが分かります。しかし通常なら、ふた部分にはプルトップの輪っかが見えるはず。実はこの当時、飲料缶の開け口は『プルタブ』という方式になっており、引き手のタブと口金(スコア)が一体となって缶からもぎとられる仕組みになっていました。そのため開栓した飲料缶には何も残らなかったわけです」(前出・週刊誌記者)

飲料缶から切り取られたプルタブ。昭和の時代にはそこら中にポイ捨てされていたものだ。

 現在の飲料缶ではタブを引くと口金部分が缶の中に落ち込み、タブは缶に固定されたままの「ステイオンタブ」方式が採用されている。平成生まれの世代にとっては当たり前すぎる光景だが、日本国内の飲料缶では平成元年(1989年)ごろ、ビール缶では平成2年に採用されており、実は昭和の時代には存在しなかった方式なのである。

 日本国内では少量ながら現在もプルタブ方式がまだ売られているが、アメリカでは環境保護の観点から法律でプルタブが禁止されているという。

「お恥ずかしい話ですが、初めてステイオンタブを見た時には開け方が分からず、タブの部分をくるくる回してネジ切ってしまったもの。それくらいステイオンタブの登場は画期的だったのです。昭和の時代には缶からもぎとられたタブがそこら中にポイ捨てされ、社会問題になっていました。それが今ではゴミとしてのタブを見ることはほぼ皆無になりましたから、飲料缶ひとつとっても時代の進歩を感じますね」(前出・週刊誌記者)

 どうやら「カムカムエヴリバディ」のひなたはまだ、ペットボトルもステイオンタブも見たことがない世代のようだ。