解散発表の「ラストアイドル」とPV公開の「アイドリング!!!」、その共通点と相違点とは

 秋元康氏がプロデュースし、テレビ朝日系で冠番組を持つアイドルグループの「ラストアイドル」が、5月31日のラストコンサートをもって解散すると3月9日に発表された。

 4月27日には「ラストアルバム」と題した1stアルバムをリリース。それに先立つ3月25日には、冠番組の「ラストアイドル ラスアイ、よろしく!」が最終回を迎える。

 オーディション番組を経て結成され、2017年12月にファーストシングル「バンドワゴン」でメジャーデビューしていたラストアイドルだが、コロナ禍の影響はいかんともしがたく、4年半の歴史に終止符を打つこととなった。

 そんな残念な報せの一方で、3月7日には古参のアイドルファンに嬉しい報せもあった。2015年に解散した「アイドリング!!!」のPVが、3月7日から次々と所属レーベル・ポニーキャニオンの公式YouTubeチャンネルにて公開。4thシングルの「職業:アイドル。」から18thシングルの「One Up!!!」まで、多くの人気曲を時代を越えて楽しめるようになっている。

「かつてのリンガー(アイドリング!!!のファン)からは《泣ける》《久しぶりに観たけどやっぱり良いな》といった感想が続出。フジテレビがプロデュースしていただけあって楽曲のレベルは高く、良曲ぞろいのラインアップとなっています。できれば朝日奈央がよくバラエティ番組でダンスを披露しているデビュー曲の『ガンバレ乙女(笑)』も観たいところですが、おそらく初期の9人体制時代にはPVがなかったはず。まずは11曲の映像を用意してくれただけでもリンガーやオールドファンには涙ものですね」(アイドル誌ライター)

 解散から早7年目となるアイドリング!!!だが、このほど解散を発表したラストアイドルとは似ている点がいくつもあるという。

 まずいずれも大人数グループであり、センターやエースが固定されていないこと。そして最初からメジャーデビューが前提で、対バンイベントへの出演が少ないことだ。それに加えて両グループを特徴づけているのが、テレビ局が主導したグループであり、冠番組ありきの活動となっていたことだという。

「そのため常に地上波に出演できるという大きなメリットがある反面、他局の番組にはなかなか出られないというハンデも。アイドリング!!!はAKBアイドリング!!!として『AKBINGO!』(日本テレビ系)などに出演できた程度。ラストアイドルは『MUSIC FAIR』(フジテレビ系)や『バズリズム2』(日本テレビ系)といった音楽番組には出演できていましたが、バラエティ番組などに呼ばれることはありませんでした」(前出・アイドル誌ライター)

 冠番組では両グループとも常に無理難題を与えられ、それを克服していく様子がファンの心を打っていた。ただバラエティ色の強いアイドリング!!!ではテレビタレントとしての打たれ強さが涵養されたのに対して、ラストアイドルは「歩く芸術」や「ボリウッドダンス」など新しいジャンルへの挑戦がメインで、こちらはよりアーティスト路線だったようだ。

PVが公開された「職業:アイドル。」。できるだけメンバー全員を公平に扱うのがアイドリング!!!流だった。

 違いとしては、アイドリング!!!が常に「全員選抜制」だったのに対し、ラストアイドルのシングルでは17名など選抜メンバーを決めていたこと。そしてアイドリング!!!が様々な芸能事務所からメンバーが集まっていたのに対して、ラストアイドルは基本的に全員がツインプラネットの傘下にあることだ。2期生は全員が同社の所属であり、プロアマ問わずの募集だった1期生には他事務所の所属者もいるものの、グループでの活動ではツインプラネットに一任する形となっており、個人での活動はスケジュールの合間を縫う形でのみ認められている。この違いはグループ解散後の進路に影響していく可能性があるという。

「アイドリング!!!からは菊地亜美と朝日奈央がバラエティタレントとして大きく成長。ほかにも『めざまし8』に出演中の横山ルリカや、司会業などで忙しい橘ゆりからが各方面で活躍しています。もちろんラストアイドルでも解散後にはツインプラネットの所属タレントとして芸能界に羽ばたくメンバーはいるはずですが、さすがに一つの事務所で数十人全員の面倒を見るのは厳しいところ。そのため解散を機に他事務所による引き抜きもありそうで、新天地を見いだすメンバーが続出するのではないでしょうか」(前出・アイドル誌ライター)

 果たしてラストアイドルからは、第二の朝日奈央と言えるようなテレビタレントは生まれるのか。もしくは新たなアイドルグループで活躍するケースも十分に有り得そうだ。ともあれ今回の解散がメンバーたちにとって、次のステージへのステップになることが期待されてやまない。