どうやら物語と現実が巧みに交錯し始めたようだ。
3月23日放送のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第100話では、冒頭で大月るい(深津絵里)と夫の錠一郎(オダギリジョー)が、アメリカに向けて旅立つ場面が描かれた。
前回の第99話では、錠一郎が約30年ぶりに音楽活動を再開。かつてるいに約束していたように、音楽の道でアメリカに連れていくと宣言していた。そこから5年弱の歳月が流れ、物語の舞台は1999年に。ついに約束を果たす時が来たようで、二人はるいの母親・安子(上白石萌音)を探す旅に出発したのであった。
「時間軸がいきなり5年も進んでいたことにも驚きましたが、視聴者の視線はるいの髪型に注がれることに。それまで耳が全部隠れる程度のボブカットだったるいが、この日は耳がすべて露わになったベリーショートに大変身。深津と同世代の女性視聴者からは《オリーブみたい!》と、深津もよく登場していた女性誌に言及する声もあがっていました」(女性誌ライター)
深津の演じるるいは17歳で本作に初登場し、結婚や出産を経て第100話時点では54歳に。いつの間にやら深津の実年齢(49歳)を超えるところにまで時が進んでいた。54歳でいきなりベリーショートとはなかなか驚きだが、視聴者には<すごく似合っている>と大好評だ。
そんな変幻自在のるいだが、実は今回の髪型により、劇中の時間軸がリアルな時間軸とシンクロするようになったというのである。
「1973年1月生まれの深津は、劇中の時間軸で26歳。すでに女優としては一線級で活躍しており、2年前の1997年には当たり役となったドラマ『踊る大捜査線シリーズ』(フジテレビ系)も始まっていました。そして1999年当時には、当の深津自身がベリーショートの髪型となっていたのです」(前出・女性誌ライター)
同年放送の主演ドラマ「彼女たちの時代」(フジテレビ系)や翌2000年放送の「天気予報の恋人」(同)、そして2001年放送の主演ドラマ「カバチタレ!」(同)あたりでは、ベリーショートの深津を見ることができる。その直前、 恩田すみれ役で人気を博した「踊る大捜査線」の第1作では耳が隠れる程度の長さだったので、まさに1999年当時に髪を短くしていたようだ。
「つまり第100話でのるいは《54歳のるい》であり、同時に《26歳の深津絵里》でもあると言えそうです。大正時代に始まり、どんどんと現在に近づいてきている『カムカムエヴリバディ』において、物語と現実が巧みにシンクロしていく様は、実に興味深いですね」(前出・女性誌ライター)
ちなみにるいの娘である現ヒロインのひなたは34歳の春を迎えているが、そのひなたを演じる川栄李奈は1995年2月生まれで、物語時点ではもう生まれている。川栄も所属していた「AKB48」が結成された2005年まであとたった6年ということに、時の流れの速さを実感するところだろう。