【ちむどんどん】良子と博夫の挙式であらためて注目される「結局、借金はどうなったの!?」

 これぞまさに、なんくるないさーの精神なのかもしれない。

 5月27日放送のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」第35回では、比嘉家の長女・良子(川口春奈)がついに結婚式を挙げる場面が描かれた。

 前回、製糖工場の跡取り息子である喜納金吾(渡辺大知)との縁談を断り、教員仲間の石川博夫(山田裕貴)と結婚すると宣言した良子。作中ではそこから半年の月日が流れ、初冬の晴れ渡った青空のもと、沖縄・山原村では盛大にお披露目が行われていた。

 良子は白無垢に角隠し、博夫は黒紋付の羽織袴という和装で登場。比嘉家の庭には村の人々や親戚一同が集まり、上京してイタリア料理店に就職していたヒロインの暢子(黒島結菜)も半年ぶりに沖縄に帰っていた。

 暢子はいかにも昭和40年代らしい紺色のノースリーブワンピースを着用しており、その可愛らしさは同じ沖縄出身のアイドル歌手・南沙織さながら。レストランの厨房では髪を降ろしたままコック帽からはみ出させているのに、なぜここでは一つにまとめているのかと疑問に思うのは、おめでたい席では野暮というものだろう。

 同様に、家紋がないはずの沖縄で博夫がなぜ紋付羽織袴を着ているのかも謎だが、おそらく通紋(誰でも使える便宜上の紋)付きの貸衣装なのだろう。それにしては「丸に橘」は珍しいが、そこにツッコむのもやはり野暮というものだ。

「そんなおめでたい席で、多くの視聴者が疑問に感じているのが、叔父の賢吉が手を叩いて喜んでいる姿です。そりゃあ自分の姪孫である良子が白無垢で着飾っている姿を見るのは嬉しいはずですが、そもそも賢吉は比嘉家が抱える多額の借金の保証人を務めているはず。未だにさほど返済もできていないはずなのに、こんな手放しで喜べるものなのか、なんとも不思議でなりません。普通に考えれば『こんなに金をかけやがって』と苦虫を噛み潰したような表情を見せていてもおかしくないはずです」(テレビ誌ライター)

結婚のお披露目では、借金を抱えているとは思えない優雅な表情を見せていた母親の優子。トップ画像ともに©NHK

 8年前に父親の賢三(大森南朋)が亡くなって以降、借金に苦しんでいた比嘉家。しかも失踪した長男の賢秀(竜星涼)が前年、投資詐欺に遭って960ドルもの大金を失っていたが、それも追い金で新たに借りたものだった。

 その賢秀は東京でプロボクサーとなり、家族に60万円(1600ドル強)を送金。これで借金も完済できたはずだったが、その金はファイトマネーではなく所属ジムの会長らに借りまくったもの。賢秀が第二戦を放棄して逃げてしまったことから、その金を返済するために母親の優子(仲間由紀恵)はあらためて借金することになったはずだ。

「そういったネガティブな話は、1話進めばなぜか消え去っているのが『ちむどんどん』のいいところ。もはや比嘉家の借金問題が描かれることもないのでしょう。なにしろ教員の良子に加えて銀座の『アッラ・フォンターナ』で働き始めた暢子も実家に仕送りしてくれますし、おそらくは良子と結婚した博夫の実家からもそれなりの結納金をもらったはず。それこそ両家顔合わせの場で縁談を破談にされた金吾すらも、ラブ&ピースの精神でたんまりとお祝いを包んでくれたかもしれませんね」(前出・テレビ誌ライター)

 あまりに荒唐無稽なエピソードの連続に、次々と視聴者が離れていると言われる「ちむどんどん」。ところが視聴率の推移を見ると、第4週には週平均で14.5%まで落ち込んでいた数字が第5週には15.2%、そして第6週には15.4%と、むしろ上向いているのである。

 しかも今週(第7週)は4話目の終了時点で16.0%とさらに上昇。どうやら視聴者のほうも、「借金? 何それ、美味しいの?」とばかりに、細かいことは気にすることなく物語を楽しむようになっているのかもしれない。