これで暢子の恋もやっと動き出す…のだろうか。
6月21日放送のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」第52回では、ヒロインの比嘉暢子(黒島結菜)がシェフ代行を務めるイタリア料理店にて、新聞社員同士がいざこざを起こす場面が描かれた。これが大野愛(飯豊まりえ)の番組卒業を示唆しているとの声が出ているという。
暢子の友人で東洋新聞社の学芸部に勤める青柳和彦(宮沢氷魚)は、編集局長の笹森(阪田マサノブ)に楯突いていた。その理由は、ある日の紙面に掲載された食品会社の広告に「おいしいごはんを作るのはお母さんの仕事」との宣伝コピーが踊っていたことだった。
留学経験のある和彦は「料理を作るのは女と決めつける表現は男女の役割分担を固定化するもの」と批判し、その広告に対して「我々の見解をはっきり打ち出すべき」と主張していた。上司の田良島デスク(山中崇)は和彦の意を組んで原稿を書かせたが、新聞広告を取り仕切る営業部長はその原稿に激怒。田良島に「お前を飛ばすだけじゃ済まさないからな」とねじ込んできたのだった。
「会社側の姿勢に納得できない和彦は、田良島の計らいで編集局長と直接話し合うことに。しかし『広告は広告、記事は記事』という青臭い主張は一蹴され、しまいには席を蹴って帰ろうとする編集局長と揉み合いになってしまいました。よりによって暢子が勤めるイタリア料理店でいざこざを起こしてしまったことから、和彦は帰宅した暢子に『今日は悪かった』と謝罪。しかしここからの展開こそが、実は今回のハイライトだったのです」(テレビ誌ライター)
騒動の理由を訊ねる暢子に対し、和彦は広告の内容を巡る経緯を説明。すると和彦の恋人で同僚の愛が「明日、編集局長に一緒にお詫びに行こう」と提案し、和彦は「お詫び? なんで俺が?」と納得のいかない様子だ。
そんな和彦に愛は、「ジャーナリストである前にサラリーマン、悔しいけどね」と返すことに。すると青臭い若手記者の和彦は「俺はサラリーマンである前に、一人の人間だ!」との信念を口にしたのだった。
「その姿に《これは和彦と愛が別れるフラグか!?》と感じた視聴者も多かったことでしょう。本作では劇的な再会を果たした和彦と暢子が恋人になることを期待する視聴者も多かったのですが、再会時点で和彦はすでに愛と交際中でした。その二人は何年も交際を続けていましたが、ここにきて急展開を見せることに。広告を巡るいざこざが唐突に描かれたのはおそらく、和彦と愛の間に価値観のズレを生じさせるためのキッカケだからでしょう」(前出・テレビ誌ライター)
新聞社で働く進取の精神にあふれた女性でありながら、和彦から見れば旧来の価値観に囚われている愛。それに対してシェフ代行の座をつかんだ暢子は、男性コックに疎まれながらも我が道を進んでおり、まさに和彦が理想とする生き方を体現しているようだ。
それゆえ広告を巡る騒動をきっかけに和彦と愛の関係に亀裂が入り、和彦が暢子のほうにたなびいていくのはもはや既定路線にすら思えるところ。ずいぶんと無理のある展開にも思えるが、「ちむどんどん」の脚本で“力技”が定番なのはもはや視聴者もよく理解しているところだろう。
「それに加えてこの日、愛を演じる飯豊が情報番組の『あさイチ』(NHK)に出演。朝ドラの出演者が『あさイチ』に登場するのは《卒業へのフラグ》との認識が視聴者のあいだに広まっていることから、近いうちに愛が作品からフェードアウトするのは確定的と見られています。この調子だと今週中にも愛の出番が終了しそうな勢いかもしれませんね」(前出・テレビ誌ライター)
前回の放送では、暢子の幼馴染である砂川智(前田公輝)が暢子に恋心を抱いていることに、まったく気づいていなかった和彦。そんな彼はどうやら、自分が暢子に惹かれていることにもまだ気づいていないのだろう。