【ちむどんどん】大学教授や料理専門家からも批判の声!それでも黒島結菜が救われるワケ

 もはやNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」への批判は、視聴者からの声に留まらなくなったようだ。

 6月21日放送の第52回では、イタリア料理店の「アッラ・フォンターナ」にて料理人生活6年目を迎えたヒロインの比嘉暢子(黒島結菜)が大混乱。両足を骨折した料理長の二ツ橋(髙嶋政伸)に代わって「シェフ代行」に抜てきされたものの、先輩コックたちからは軽く扱われ、心身ともにすり減っていたのだった。

 一方、暢子の友人で東洋新聞社記者の青柳和彦(宮沢氷魚)は、食品会社の全面広告を飾る「おいしいごはんを作るのはお母さんの仕事」との宣伝コピーに反発。批判の原稿を書いたものの営業部長には激怒され、編集局長からも「話すことはない」と相手にされず、しまいには揉みあいにまで発展していたのである。

「暢子が働くフォンターナは銀座の名店にもかかわらず厨房がギスギスしており、和彦は青くさい理想論ばかりをぶち上げる始末。そういった登場人物に加え、舞台装置として描かれているイタリア料理店や新聞社の描写も薄っぺらすぎて、視聴者も呆れかえっています。しかも本作への批判は視聴者のみならず、ついには大学教授や料理専門家からも表立った批判があがるようになったのです」(テレビ誌ライター)

 毎日新聞の6月20日付コラムにて「ストーリー展開が雑で安直に思える」と辛口の批判をぶつけたのは、同志社女子大学の影山貴彦教授。毎日放送出身の元テレビマンでメディアに関する著作も多く、コラムニストやメディア評論家として活躍している人物だ。

 その影山氏が今回、<長過ぎる「助走」?「ちむどんどん」 もはやツッコミを楽しむしか……>とのタイトルで発表したコラムは、掲載先が全国紙ということもあって大きな反響を呼ぶことに。“アンチちむどんどん派”の視聴者はほら見たことかとばかりに影山氏のコラムを引用し、批判を強めているのである。

なにかにつけて暢子を敵視する先輩コックの矢作。フォンターナで6年超も働いていたら人間的にもう少し成長していそうなものだが…。©NHK

 一方で作中の料理について批判しているのは、イタリア料理研究家にして公益財団法人の日伊協会で常務理事を務める長本和子氏。長本氏は自身のフェイスブックに6月18日、「ちむどんどんの料理について〜書いておきたい」という書き出しで、同作に登場する料理がいかにあり得ないものばかりなのかを指摘している。

 誰でも読むことのできる“全体公開”の投稿にて長本氏は「これがイタリア料理だと思われるのはあまりに辛いので、記しておきます」と強い調子で、本ドラマの制作体制を批判。コメント欄では「NHKともあろうものが! NHKしか見ていない私が言うのだ」とまで言い切っているのである。

「これらの批判を果たして、制作側はどう受け止めるのか。ただ朝ドラは放送のかなり前から撮影を始めており、たとえ軌道修正しようにも反映までには時間がかかるものです。なお専門家からも批判の声があがるようになった一方では、本作のヒロインである黒島結菜をはじめ、出演者たちには同情の声がかなり寄せられているようですね」(前出・テレビ誌ライター)

 前述の影山氏はコラムの中で、黒島の名前もあげたうえで「俳優たちはそれぞれの仕事をしっかり全うしており健闘が光る」と明言。続けて「作り手は演者の無駄遣いをしているようにも映る」と指摘しており、問題はあくまで制作側にあることを強調している。

 またツイッターで盛り上がっている「#ちむどんどん反省会」の投稿を見渡しても、黒島や川口春奈、上白石萌歌や仲間由紀恵といった演者への悪口はほとんど見当たらない。キャストたちはあくまで制作側の意図通りに動いており、演技そのものは評価されている。どうやら黒島はせっかくのヒロイン作が悪評まみれのなか、女優としては救われる形になっているようだ。

「そのなかでワリを食っているのが長男・賢秀役の竜星涼。身勝手を絵に描いたような賢秀の振る舞いを巡っては、《賢秀が嫌いだから竜星涼まで苦手になった》といったトバッチリさえあるほどです。スーパー戦隊シリーズの主演で名をあげた彼は2017年度上半期の朝ドラ『ひよっこ』にも出演していますが、今回の『ちむどんどん』は黒歴史になりかねない勢いですね」(前出・テレビ誌ライター)

 果たして「ちむどんどん」は今後、どんな方向に進んでいくのか。様々な考証が甘いのはさておき、せめてエンターテイメントとして面白い作品にはなってほしいというファンの声にも耳を傾けてほしいところではないだろうか。