もはやなんでもアリになりすぎて、視聴者も興味を失いつつあるようだ。
8月2日放送のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」第82回では、ヒロインの比嘉暢子(黒島結菜)がイタリア料理店の「アッラ・フォンターナ」に、青柳重子(鈴木保奈美)を招待する様子が描かれた。
新聞記者の青柳和彦(宮沢氷魚)と結婚を約束するも、母親の重子から家柄の違いを理由に猛反対されている暢子。そこで彼女は銀座の一流レストランで働いていることをアピールしつつ、手によりをかけた料理で重子をもてなし、翻意してもらおうと考えていた。
「しかしそこは『ちむどんどん』。本筋に関係あるとは言い難い様々なノイズがストーリーを彩ります。重子の食事中にはチンピラ風の男たちが『トイレの釘で服が破れた』と因縁をつけ、大騒ぎすることに。一方ではこれまでずっとコック帽からハミ出していた暢子の髪が、今日はしっかりと結ばれていることに驚く視聴者もいたのです」(テレビ誌ライター)
序盤では、フォンターナ元従業員の矢作知洋(井之脇海)が店から盗み出した権利書を入手した反社風の人物が、その権利書を1000万円で買い取れと大城房子オーナー(原田美枝子)に迫る場面も。その件について和彦は沖縄県人会会長の平良三郎について触れ、「三郎さんは信用できるはずなのに、なんで(オーナーは)相談したがらないんだろう?」と暢子に訊ねる場面もあった、
すると暢子は「オーナーと三郎さんは結婚するはずだったわけ」と初出しの情報をブッ込むことに。そんな重要なエピソードをなぜこんなにサラッと投入するのか。行先の分からないストーリー進行に、視聴者もどう処理すればいいのかすっかり当惑していたことだろう。
「朝ドラ後に放送される『あさイチ』の出演者も、視聴者と同じように当惑していたようです。冒頭の“朝ドラ受け”の場面では鈴木奈穂子アナが、ストーリーそっちのけで『矢作氏、どこに行っちゃったんでしょうね?』との疑問を口に。するとMCの博多大吉は『みんな頑張れと思うんですけれど、矢作以外の名前が分からない。誰だっけって』と、この回に登場しなかった矢作の話題で盛り上がっていたのです」(前出・テレビ誌ライター)
そんな二人の会話に視聴者はビビッドに反応。なんとツイッターで「矢作以外の名前」というキーワードがトレンドランキングにランクインしたのである。
普通なら「権利証」や、作中で暢子が作った料理の「ペペローネ・リピエーノ」、もしくは重子が大城オーナーに対して指摘した「小学校中退」あたりがトレンド入りしそうなもの。ところが、とっ散らかったストーリーを追う気も失せた視聴者たちは、本筋に関係ない「矢作以外の名前」に反応していたというわけだ。
もはやストーリーの内容では視聴者を惹きつけられなくなってきた「ちむどんどん」。ともあれ暢子と和彦の結婚話だけは、ちゃんと決着していただきたいところだろう。