【ちむどんどん】前田公輝が制作陣を批判?「キスすれば女は落ちる」的な展開に怒りの声が続出!

 まだ姉に執着していたときのほうが、彼なりに段階を踏んでいたのだが…。

 9月20日放送の情報番組「あさイチ」(NHK)にゲスト出演した俳優の前田公輝が、制作批判にも聞こえる言葉を口にした。この日、前田が砂川智役で出演するNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」117回では、智が幼馴染の比嘉歌子(上白石萌歌)にキスしようとする場面がハイライトに。唇が触れあう直前に善一(山路和弘)が二人を見つけ、キスをしないままに終わるというドタバタが描かれた。

 このシーンについて前田は「止まれ止まれ、って思ってました」と回想。おそらくは両想いの智と歌子だが、智が歌子に言葉で好意を伝えたことはなく、だんだんと唇を近づけていく演技に「止まれ止まれ、さとるさとるさとる!って」と思っていたという。そこに二人を探しに来た善一が割って入ったことで、「前田としては善一さんが入ってきてもらって、よかったなと」とキス未遂事件について振り返ったのだった。

「前田自身は笑い話として昇華していたものの、この口ぶりからは彼自身も、智が歌子にキスを迫る展開に疑問を抱いていたことが感じられます。智は原宿で買った高価なペンダントを歌子にプレゼントしたことこそありますが、具体的な愛情表現はほぼそれだけ。男女としての好意を言葉で伝えたことはなく、それでいていきなりキスを迫るというのは、かなり乱暴すぎる展開ではないでしょうか」(女性誌ライター)

山小屋で歌子にキスを迫る智。これでちむどんどんするのがやんばる流だとでも言うのか。トップ画像ともに©NHK

 智はかつて、歌子の姉でヒロインの暢子(黒島結菜)に惚れており、沖縄角力大会で優勝した暁にはプロポーズするとの決意も固めていた。その前から後先も考えずに突っ走り、暢子の母親・優子(仲間由紀恵)には「俺たち結婚します。あとはプロポーズするだけ」(意訳)とワケの分からないことを宣言する始末。とは言え誰の目にも智が暢子にアプローチしているのは明らかで、彼なりに段階を踏んでいたのである。

 そしてたどりついたプロポーズでは、智のことを幼馴染にしか見れないという暢子の前に撃沈。気の強い暢子が相手ゆえに強引に唇を奪うような場面もなく、その玉砕ぶりはある意味で清々しかったほどだ。

 その後、智の想いは歌子へと傾くことに。だがせっかく歌子が上京して暢子の沖縄料理店で働くようになっても、二人の仲はちっとも進展しなかった。2年後に歌子は沖縄に帰郷。あとを追うように智は自分の食品卸会社スナガワフードの本拠を故郷のやんばるへと移し、歌子の近くへと引っ越したのである。

「歌子の上京以来、4年以上も告白のチャンスがあったのに、あと一歩を踏み出せなかった智。気が短いわりに歌子への恋にはやたらと奥手なのは謎ですが、それ以上に謎なのは今回、いきなりキスを迫った場面でしょう。その姿は結局、言葉でまどろっこしく迫るよりも、キスで押し倒したほうが話は早いという男尊主義の表れ。善一の邪魔が入るというコメディシーンにはなっていたものの、その背後にはオジサン制作陣トリオによる『キスすれば女は落ちる』という昭和の残滓が透けて見えており、もはや怒りで吐き気を催すほどです」(前出・女性誌ライター)

 二人の唇が触れあう直前まで近づいたということは、善一の邪魔が入らなかったら歌子は智を突き飛ばすわけでもなく、キスを受け入れていたということだろう。その描写には視聴者からも<キスする前に言葉にしろ!><ここでキスなんてキモ過ぎる>といった怒りの声があがっていたものも無理のないところだ。

 思えば歌子の兄・賢秀(竜星涼)も、沖縄県人会会長の平良三郎(片岡鶴太郎)から「黙って後ろからガバッて抱きしめろ」とけしかけられていた。そういったキスやハグこそがオジサン制作陣にとっては、若者二人による青い恋物語なのかもしれない。しかしそんな前時代の愛情表現が果たして令和の時代に通用するのか。誰よりもホッとしていたのは、そんな卑怯な姿を演じずに済んだ前田自身だったのでないだろうか。