さすがにこれは…。前週からのあまりの変わりように、視聴者も不満を隠せないようだ。
11月21日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第36回では、ヒロインの岩倉舞(福原遥)がいよいよ航空学校に入学。パイロットに向けての第一歩を踏み出す様子が描かれた。その回で映し出されたシーンに、視聴者からの不満が噴出しているという。
この「舞いあがれ!」では舞を中心に各出演者が織りなす人間模様の描写が細かく、毎回のように感動の涙を流す視聴者が続出。前作の「ちむどんどん」では猛威を振るっていたツイッターの「反省会タグ」もすっかり影を潜め、つぶやきも少なければいいねもほとんどつかない状況となっていた。
ところが今回、とあるシーンをきっかけに突如として「#ちむどんどん反省会」タグが活性化。それに伴ってほかにも視聴者からの不満が噴出してきたというのである。
「そのシーンはカフェでアルバイトしている舞が、コーヒーカップ二つを載せたお盆をひっくり返してしまうシーンでした。航空学校の入試に向けた受験勉強に加え、受験資格として大学2年次修了相当の62単位取得が必須であることから、学校の授業もさぼれません。そのため寝不足気味の舞は足元がふらつき、椅子の脚に足を引っかけて、体勢を崩してしまったのです」(テレビ誌ライター)
放送ではお盆が大きく傾いたところでストップモーションになったものの、少なくても珈琲を大量にこぼしたであろうことは確実。前週まではこういったコミカルな演出がほぼなかったこともあり、「ちむどんどん」でヒロインの暢子がトマトソースの入った寸胴をぶちまけてしまったシーン(第51回)を思い出した視聴者も多かったのである。
それに加えて前週までは、テロップやナレーションにできるだけ頼ることなく、ちょっとしたセリフや映像で状況を説明する演出が高い評価を得ていた。それが今回は「航空学校入学試験まであと3カ月」といったテロップが大きく表示され、これまた前作の「ちむどんどん」を想起させるとして、反省会タグ民の神経を逆なでしたのである。
その一方で、そもそも航空学校を目指す舞が寝る間も惜しんでアルバイトに勤しんでいること自体がおかしいとの指摘もあるという。カフェ店主に対して舞は「親に無理言うてるんで、ちょっとでも自分で学費稼いでおきたいんです」と理由を語っていたが、それは理屈に合わないというのだ。
「航空学校に合格した場合、いま通っている浪花大学は中退するのですから、親が負担する学費はさほど変わらないのです。航空学校(航空大学校がモデル)ではパイロット養成の重要性を鑑みて、国や航空会社が運営資金の多くを補助。学生は『国立大学相当』の学費を負担しており、舞が入学した平成18年度(2006年度)の授業料は53万5800円でした。これは舞が通っている浪花大学(旧・大阪府立大学がモデル)と同額であり、舞が『親に無理言うてるんです』と引け目を感じる必要があるのでしょうか?」(飛行機事情に詳しいトラベルライター)
もちろん、新たに航空学校に入学することから入学料の28万2000円が別途必要になったり、寮費と食費で月額5万円ほどかかるという事情はある。とはいえ航空学校を無事に卒業できればパイロットへの道は約束されたも同然で、世間一般の平均給与よりも高い給料をもらえることは確実。それなら就職後に親に仕送りすることで、入学料や寮費の分も十分に返せるはずだ。
それに大学を中退して航空学校に行くことを両親が認めたからには、舞の本分はあくまで航空学校の受験に合格することに他ならない。その状況で寝る時間も削ってアルバイトに勤しむのは、舞の夢を認めた両親の期待を裏切る背信行為とすら言えるのではないか。
「舞がアルバイトを続ける姿も、お盆をひっくり返すシーンも、パイロットを目指す二十歳の学生を描くにはまったくもって不要なシーンでしょう。そんな理由の分からない演出で、前作『ちむどんどん』の悪夢を想起させられた視聴者が、その不満を反省会タグにぶつけるのも無理のない話。可能であれば今からでも、演出の内容を軌道修正してほしいと視聴者は願っているに違いありません」(前出・テレビ誌ライター)
つい昨日まではツイートごとに一桁程度のいいねしかついていなかったのに、週が明けたら多くのツイートに数百件のいいねがつくようになった「#舞いあがれ反省会」。これが「#ちむどんどん反省会」のように数千いいねを集めるようになる前に、朝ドラ制作陣は対策を考えたほうがいいのかもしれない。